【5時から作家塾】安全の見守り方が変わる? カメラで「見る」から動きを「感知」へ
高齢者の一人暮らしが増えるのに伴い、離れた場所から安全を確認するための様々なツールが登場している。当初はカメラを使って様子を見守るものが多かったが、プライバシーへの考慮から、最近は映像を使わないものに注目が集まっている。
内閣府が2016年に発表した資料によると、2015年時点での日本国内における65歳以上に占める一人暮らしの割合は女性が21.1%、男性が13.3%で、2020年は女性が21.9%、男性が13.9%になると予想されている。この比率は今後さらに増える見通しだ。国立社会保障・人口問題研究所が2019年に発表した将来推計によれば、2040年には世帯主が65歳以上の高齢世帯のうち、40%が一人暮らしになるという。
こうした一人暮らしの高齢者の自立した生活を守りつつ、何かが起きた場合にはすぐに駆けつけられるよう、様々な技術が開発されている。
最初に導入が進んだのが、いわゆる「見守りカメラ」だ。離れたところに住む家族が、高齢な親の様子を映像で24時間モニタリングできるだけでなく、スピーカーとマイクがあれば、双方向で音声をやり取りすることもできる。中にはセンサーによって動体検知や温度検知、ドアの開閉を検知できるものもある。しかし、カメラは生活のすべてを映し出してしまうため、「ずっと見られているのはいや」と感じる高齢者も少なくない。そうした需要から考案されたのが、映像を使わずに高齢者の様子を見守る技術だ。
ケアギバー・スマート・ソリューションズは、動体検知(転倒検出も含む)が可能な小型のセンサー、冷蔵庫や薬戸棚などの開閉を感知するセンサーを屋内に複数設置し、スマートフォンのアプリでセンサーが取得した情報を確認するというキットを提供している。食事のパターンや就寝時間が平常通りかどうか、動きに異変がないかなどを、スマートフォンで常時チェックすることが可能だ。高齢者側はカメラがないので、プライバシーを守ることができる。
ベルキン傘下のリンクシスは、人の動きをWi-Fiネットワークで感知する「リンクシス・アウェア」を提供中だ。簡単に言ってしまえば、多くの家庭で利用されているWi-Fiネットワークを利用して、そのネットワーク範囲内の動きを検出するというもの。人の動きを検出したらアプリに通知を送信してもらう設定が可能で、動きの検出感度は細かくカスタマイズできるうえに、通知の送信も時間や曜日ごとに設定可能だ。同社のメッシュWi-Fiルータが2台以上あれば利用でき、カメラやセンサーなどのハードウェアを追加する必要はない。
こうした部屋に設置する装置だけではなく、身体に着用する腕時計型のものも数年前より登場している。腕時計型の利点は、家の中だけでなく外出時の行動も把握できる点と、脈拍や移動距離、歩数、睡眠の質など、健康状態に関わるデータも取得できる点だ。一方でカメラとは異なり映像データは取得しないので、プライバシーも守られる。
スマートウォッチ市場で圧倒的なシェアを持つアップルのアップルウォッチは、シリーズ4以降、転倒検出機能を搭載している。これは着用者が転倒して身体に大きな衝撃を受け、そのまま1分間動かないでいると、アップルウォッチが緊急通報サービスに連絡する機能だ。高齢者には転倒事故が多いが、万一周囲に誰もいない状況で転倒、動けなくなっても、アップルウォッチが通報してくれる。またシリーズ4以降は、心房細動などの心臓の問題を事前に警告する心電図機能も搭載している(残念ながら現時点では、この機能は日本では利用できない)。
確実に増え続ける高齢者の一人暮らしを見守る技術は、今後さらに進化し、多様化することは間違いなさそうだ。(岡真由美/5時から作家塾(R))
【プロフィール】5時から作家塾(R)
1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。
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