交通事故に不審者の危険性 休校中の安全教育・学びは家庭でしっかりと

 

 新型コロナウイルスの感染拡大によって休校が続き、子供たちが交通安全や不審者から身を守るための教育を受ける機会が少なくなっている。外出自粛要請で人通りが減っているとはいえ、春は小学生の重大事故が多発する傾向にあり、自宅周辺も決して安全地帯とはいえない。学校で新学期に行われる安全教育ができない中、家庭での時間は限られた学びの機会となる。専門家は会話を工夫すれば子供の意識向上につながると指摘している。

 警察庁によると、昨年1年間で歩行中に事故で死亡したり、全治1カ月以上の重傷を負ったりした小学生は493人。平成22年の992人に比べ減少傾向にあるものの、過去10年間で歩いていて死亡・重傷事故に遭った小学生は約7400人にのぼる。うち小学1~2年生が約52%を占め、年齢が低いほど事故は多い。

 警察庁が26~30年の5年間の同様の事故をさらに分析したところ、月別の発生は5月が最多。次いで多いのは10月だが、3番目は4月、4番目も6月となっており、春から初夏は重大事故に注意が必要な時期だ。

 ただ、今年は状況が例年と大きく異なる。春の全国交通安全運動期間(4月6~15日)に発生した全ての交通事故は7645件で、昨年同期比で26%減少。7日時点で緊急事態宣言の対象となった7都府県はいずれも減少しており、外出自粛要請に伴う交通量の減少が影響したとみられる。

 一方で懸念もある。本来、新学期が始まれば、警察官が学校に出向いたり、登下校の時間帯に通学路に立ったりして、児童に横断歩道の渡り方や信号の守り方を教えるが、休校によって交通安全教育が行えない地域も出ている。

 外出自粛が続いていても、人口が多い地区を中心に自宅周辺での注意が必要となる。「大阪の交通白書」によると、昨年発生した府内の中学生以下の人身事故で、約48%は自宅から500メートル以下の距離で発生。東京都内でも小学生の人身事故(歩行中)の約58%は自宅から500メートル以下で起きている。

 家庭での教育は、どのようなことを意識すればいいのか。交通安全教育に詳しい大阪市立大の吉田長裕准教授によると、オランダの調査結果では、保護者は子供が間違った行動をしたときに誤りを指摘する傾向にあるが、ミスを強調しすぎると自発的な学びを阻害する可能性がある。

 吉田准教授は「子供は見よう見まねで学び、自分の行動を身に付けていく。お手本となる保護者は、子供が関心を持って学べるような状態を作りつつ望ましい方向へ誘導していくことが重要」と指摘。信号を守ったり、左右をよく見て横断したりするなど、正解となる行為を行った際は積極的にほめて肯定し、「どうしてそういう行為が必要なのか、何が危険なのかを教えることも大切」とする。

 防犯面でも、会話を工夫することで子供の意識は変わる。立正大の小宮信夫教授(犯罪学)は「誰が不審者か見分けるのは難しいが、危険な場所は分かる」とした上で、ガードレールがない道やフェンスのない公園といった「入りやすい場所」と、人通りや窓が少ない「見えにくい場所」は犯罪が起きやすいとする。

 「子供に『周りに窓はいくつある』『悪い人にとって怪しまれずに近付きやすい場所かな』などと質問しながら、具体的な状況をシミュレーションして危険な場所を伝えるのが重要」と小宮教授。外に出なくても、図上の風景を閲覧できるグーグルのサービス「ストリートビュー」が活用できるという。