デキる男は住まいから

在宅勤務の夫が料理に挑戦 トヨタ式で家事のムリ・ムラ・ムダを省こう

香村薫

 テレワークの導入により、「妻は外で仕事、夫が在宅勤務の日は、夫が夕食を担当する」といった家事シェアを実践しているご家庭もあるのではないでしょうか。我が家では夫が調理担当の日は、これまで全てテイクアウトだったのですが、なんと近ごろ、夫から「STAY HOME期間を使って料理を覚えようかな」というびっくり発言が飛び出しました。その後、実際に10日間、買い物から調理、後片付けまで全てをやってもらいました。今回はその体験をもとに、男性が家事シェアで料理を担当するときのポイントをお伝えします。

 1.「買い物のムラ」を取り除く

 まずは買い物。男性の皆さんには“買い物は食材だけではない”ということを知って頂きたいと思います。食器を洗う洗剤やビニール袋、ラップのような食材以外の物、さらに、どうせ買い物に行くなら子供のオムツも買ってきて! なんて状況になりがちです。

 しかも、食材以外の商品は今まで目にすることが少なかったからか、種類も多く、何を買えばよいのかわからず店頭で悩んで妻に電話で確認する、といった光景が容易に想像できます。これは正直、依頼する妻にも問題があると思います。

 頭では商品を思い描きながら依頼している妻と、それを見たこともない夫では、商品イメージが異なっても仕方ありません。我が家でもビニール袋(小)を頼んだのに大きなゴミ袋を買ってきた、食器洗い用洗剤を頼んだら食洗機用洗剤を買ってきた、など様々な買い間違いがいくつも発生しました。

 これこそまさに“家事のムラ”。経験値が高い人と低い人でアウトプットに差がでてしまっている状態です。そこで、買い物はできる限りオンラインで済ませるようにしましょう。そうすれば、悩んだときに「これでいいの?」と妻に画像を見ながら確認できますし、写真を見ながらの注文を経験することで、今度からは実店舗でも迷うことなく購入できるようになりますね。

 2.「調理機器のムダ・食器のムダ」を取り除く

 調理を始めて3日後、夫に「一番大変なことは?」と聞いてみると、「洗い物の多さ・終わった後の掃除」との返答が。料理をほぼしたことがない夫が、調理よりも後片付けの方が大変だったと言うのです。言われてみると確かに、私が調理をするときは、いかに後片付けをスムーズに行うか? を念頭に置いて取り組んでいます。この3日間、後片付けのことなど全く考えずに調理を進めたので、毎食後、洗い物の山だったと夫が言うのもうなずけます。そこで…

・使う調理機器を厳選する(むやみにボウルやフライパンを多用しない、ビニール袋の中で混ぜる、お肉を切るときはまな板にラップを敷く、など)

・使う食器を減らす(ワンプレート化やお鍋のまま食卓に出す、など)

 を意識し、使わないものは見えない場所に隠す収納にしました。他にも「のどが渇いた!」と子供たちが次から次へと使うグラスは、各自、家の中でも水筒で過ごすことで洗い物を抑える工夫も。そのおかげで食後の後片付け時間が、毎食5分以上短縮されました。

 “後片付け時間を短縮するための工夫”はご家庭によって異なります。妻が実際に取り組んでいる工夫を聞いてから調理に取り掛かってくださいね。

 3.「メニューのムリ」を取り除く

 最後はメニューです。包丁もろくに握ったことのない夫にとって“失敗したらイヤだな…”という感情が「料理なんてムリ!」との抵抗感に繋がっていたようです。そこで、我が家では調理のハードルを下げるために…

・メニューは3つに絞る

・電気調理鍋のお任せメニューに頼る

 としました。メニューに関しては、家族全員に食べたい料理を挙げてもらいランキング化。子供たちの好きなメニューを単純に叶えると、焼肉! ステーキ! からあげ! となってしまうので要注意! ここで意識すべきは“栄養”です。特に妻は食事の栄養バランスについてはシビアに考えていますので、3つのメニューを決めるときの判断基準に加えることをおススメします。

 さて、実際に調理をするにあたり、夫が使ったのが電気調理鍋(ティファールのクックフォーミー)です。夫は「これなら楽勝! こんなの全部まとめて入れるだけじゃん!」と使い勝手の良さを絶賛。本当にそうなのです。材料を入れてスイッチオンするだけで火加減などはぜんぶお任せで調理が完成します。しかも油の飛び跳ねが皆無なので、調理後の掃除もラク!

 そんなわけで、3つのメニューを4回ずつ作ったタイミングで夫から「次のメニューに移ろうかな」との提案がありました。次第に調理に対する抵抗はなくなり、“お腹が減ったら自分で食べたいものをつくればいい”という認識に変わってきたのだそうです。

 そして連休が終わった今でも、夫が在宅勤務の日は夫が調理をする、という流れは継続しています。在宅勤務を機に料理に挑戦してみようかな? と思っている男性の参考になれば幸いです。

香村薫(こうむら・かおる) 片づけの専門家
ライフオーガナイザー
大学卒業後、トヨタグループ会社に入社。そこで学んだトヨタメソッドを家事に応用した「トヨタ式おうち片づけ」を提案。片づけサポート業務「ミニマライフ」を起業。全国での講演活動、個人宅での片づけサポートを行う。著書に「トヨタ式おうち片づけ」「トヨタ式超ラク家事」(ともに実務教育出版)「トヨタ式家事シェア」(主婦の友社)がある。NHKをはじめTVや新聞・雑誌などメディア出演多数。

【デキる男は住まいから】は株式会社ミニマライフ代表取締役で、ライフオーガナイザーの香村薫さんが、トヨタ自動車のグループ会社で学んだメソッドを家事に応用し、ビジネスパーソンが今すぐ実践できる「家事シェア」のノウハウなどを伝授するコラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら