がん電話相談から

悪性リンパ腫の疑い、専門病院に移りたい

 本人入院中なら代理来院でも可

がん研有明病院血液腫瘍科部長 照井康仁医師

 Q 70代の女性です。今年1月、あごの下から首にかけて腫れがひどく、総合病院を受診しました。検査を受けたところ、悪性リンパ腫の疑いを指摘されました。主治医によると、次回は生検をするとのことです。この検査はどのような意味がありますか。

 A リンパ節が腫れる病気には、良性のものから悪性のものがあります。悪性リンパ腫の確定診断には、生検(リンパ節や腫瘍の一部を外科的に採取)をすることから始まります。採取した検体は、病理検査をはじめ、免疫学的検査(フローサイトメトリーによる細胞表面マーカー検査)、染色体検査、遺伝子検査に提出されます。これらの検査の結果を総合的に見て悪性リンパ腫の診断が行われます。

 Q 実は、今の病院からがんの専門病院に転院して治療をしてもらうことを希望しています。

 A 患者本人が来院できる場合は診察予約が可能ですが、本人が入院していて家族が代わりに来院する場合はまずセカンドオピニオンとなり、その後に希望があれば転院となる場合が多いです。

 Q 転院するとなると、転院先の病院で初診から診てもらうことになるのですか。また、生検をしてから転院すべきか、転院してから生検をしてもらうか迷っています。

 A 転院先の病院で初診から診てもらうことになります。治療を目的に転院するのであれば、転院先で生検をしてもらってもいいでしょう。ただし、転院に時間がかかるようなら、生検をしてからの転院でも可能です。その際、来院時に染色していない標本を持参することを勧めます。

 初診から病理検査をするまでに日数は、生検の込み具合や生検するリンパ節の場所などによって異なりますが、7~10日ぐらいになると思われます。

 Q 病院によっては確定診断がつかないと転院できないとも聞きました。

 A そういうことは基本的にはありません。むしろ、確定診断が難しいケースで転院をして、持参した染色していない標本を基に病理検査をして、確定診断がつく場合もあります。

 Q 仮に悪性リンパ腫と確定したとして、腫物ができるまで自覚症状があまりなく、進行するのでしょうか。

 A 悪性リンパ腫の場合、自覚症状がないためすでに進行している場合があります。これを調べるために、病理検査とともに、PET(陽電子放射断層撮影)とCT(コンピューター断層撮影)を同時に行うPET-CT検査など全身の検査を勧めます。

 Q 悪性リンパ腫になると、どのような症状が出ますか。

 A 症状の有無によって、A(症状なし)とB(症状あり)に分けられます。B症状として、原因不明の38度以上の発熱、6カ月で10%以上の体重減少、ひと晩で下着を何度も変えるような寝汗がみられる場合があります。

(構成 大家俊夫)

 回答は、がん研有明病院血液腫瘍科部長の照井康仁医師が担当しました。

 「がん電話相談」(がん研究会、アフラック、産経新聞社の協力)は毎週月曜日から木曜日(祝日除く)午前11時~午後3時に受け付けます。電話は03・5531・0110、無料。相談は在宅勤務でカウンセラーが受け付け、専門医の相談は当面、休止します。

 血液のがん、悪性リンパ腫は、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大別される。日本では非ホジキンリンパ腫が約90%を占め、この中でB細胞性、T細胞性、NK細胞性に分けられる。

 照井医師は「ゆっくり進行するタイプと、早く進行するタイプに大別され、治療法もそれによって変わってきます」とし、「悪性リンパ腫なのかどうか、どんな種類のリンパ腫なのか、正確な確定診断は非常に重要になるため、専門医のいる病院で検査・診断してもらうことを勧めます」と話している。