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《2018年3月掲載》新型のスズキ・スイフトスポーツは、クルマ好きを中心に高い人気を誇る小型のホットハッチだ。今回、4代目(グローバルモデルとしては3代目)にして初のターボエンジン搭載、3ナンバーボディへの拡大と大幅な進化を遂げ、直近のRJCカー・オブ・ザ・イヤーを受賞。2006年次、11年次に続き3世代連続でカー・オブ・ザ・イヤーに輝くという偉業を成し遂げた。「これはぜひ運転せねば」と期待に胸を膨らませて6速MTモデルに乗り込んだ。(文・写真 大竹信生/SankeiBiz編集部)
1t未満の軽量ボディ
「スイスポといえばこの色だよね」-。広報車を受け取りに行くと、2代目から続く専用カラー「チャンピオンイエロー4」に塗られたスイフトスポーツが現れた。
ボディサイズは全長3890×全幅1735×全高1500mm。標準モデルは全幅1700mm以下という5ナンバーサイズに抑えているが、トレッドをワイドにしたスイフトスポーツは初めて3ナンバーにサイズアップした。気になる車重は970kg(6ATは990kg)でむしろ先代より軽量化。軽くて強い新プラットフォーム「ハーテクト」に超ハイテンを使用した強靭なボディシェルを乗せることで、驚愕の1t切りを実現した。
インテリアはスイフトスポーツ専用仕立て。セミバケットのフロントシート、時速260km/hまで刻まれたスピードメーターとタコメーター、本革巻ステアリングホイール、インパネオーナメント。これらすべてにアクセントとなるレッドの差し色を配し、ただ運転席に座るだけでもドライバーズマインドを掻き立てられる。居住性については必要十分。後席の足元の広さはちょっとした驚きだった。深さのある荷室は大きなスーツケースやゴルフバッグも収納できそうだ。
トルク感にあふれた走り
「こりゃ軽い!」。最初に驚くのは、やはり軽快な身のこなしだ。ギアを1速に入れてクラッチを繋ぐと、重力を感じさせずにフワーッと加速する。筋斗雲も斯くや…。この浮いているかのような不思議な感覚は2速、3速とシフトアップしても変わらず、とにかく動きが素早い。1.4Lのダウンサイジングターボは最高出力140PS/5500rpm、最大トルク23.4kgm/2500~3500rpmを発揮。これにクロスレシオ化した6MTが組み合わされており、低中回転域の加速がすこぶる気持ちいい(ちなみに2ペダルタイプは従来のCVTから6ATに変更している)。
ワイド化したボディにダウンサイジングターボとなれば、欧州マーケットを強く意識しているのは明らかだ。実際にヨーロッパでもかなりの走行実験を重ねてきたと聞く。レイアウトは前輪駆動(FF)を採用し、足元には専用チューニングされたスタビライザーやサスペンションを装着。タイヤサイズは195/45R17だ。
エンジンは非常に扱いやすく、狙った回転数を維持しながら簡単にクラッチミートできる。例えばルノー・メガーヌR.S.のようなピーキーさとは無縁で、超低速走行や坂道発進も神経を使わずに済む。エンジンは気持ちの良いスポーティーなサウンドで、過度なチューニングによる“やりすぎ感”はない。正直、ターボが介入する瞬間もよくわからないのだが、とにかくどの速度域においてもトルク感にあふれた俊敏な走りを見せてくれる。
シフトのストロークは想像していたよりも長めで、スコンスコンと素早くシフトチェンジしたい人にはやや物足りないかもしれない。個人的には、1速から2速へ入れるときにシフトレバーがつかえる感覚があるのが気になった。
ワインディングで魅力発揮
高速道路での走りは力強く、あっという間に6速に達する。加速車線から本線への合流や追い越し車線へのレーンチェンジも余裕。この日は時折激しい雨と強風に見舞われたため、そこまでエンジンをブンブンと回した高速走行はできなかったのだが、それでも足回りの専用チューニングや空力パーツの恩恵か、標準仕様のスイフトよりも安定感は明らかに向上しており、とくに不満があった直進安定性は悪条件の中でも進化を実感することができた(ちなみに風速20mの雨風の影響で、風切り音やロードノイズといった静粛性に関してはまったくテストにならず…。東京湾アクアラインは、筆者が通過した直後に通行止めになりました)。
このクルマの魅力を最も引き出せるのは、こまめなシフトチェンジと低中回転域での高トルクを味わえるワインディングだ。重さのあるステアリングは手応え十分で、狙ったラインを綺麗にトレースする高い操縦安定性を披露。とにかく身軽で、足回りも踏ん張りの効くハードなセッティングを施しており、連続するカーブを颯爽とクリアしていく。回頭性も高く、コーナーの立ち上がりも力強くて速い。安全なドライコンディションなら、MT車らしく自分好みのエンジン回転数を保ちながら屈曲路を駆け抜けるのも楽しそうだ。
硬い味付けでも走行中の不快感は特になく、長距離走行もほとんど苦にならない。道路の凹凸や継ぎ目でドンと瞬間的なショックはあるものの、引きずることなく一発カット。相当にスポーティーな走行性能を有するものの、普段使いにも全く不便を感じさせない運転のしやすさと乗り心地の良さには感心した。
軽量・コンパクトで扱いやすく、肌着を身に着けるようにごく自然な感覚でクルマとの一体感が生まれるため、ドライバーの意図とクルマの動きがシンクロするたび「自らの手で操っている」という快感に包まれる。しかもこれが183万円で手に入るなんてもはやバーゲン。これは、乗れば乗るほど欲しくなってくる…。とにかく走ることに喜びを感じるクルマなのだ。余寒が厳しい雨中のロケとなったが、ホットハッチと呼ぶにふさわしい刺激的な走りにこちらの心も熱くなった。ちなみに新型スイフトスポーツは6ATの評価も非常に高いようなので、オートマ派の方にはぜひチェックしてほしいと思う。
【乗るログ】(※旧「試乗インプレ」)は、編集部のクルマ好き記者たちが国内外の注目車種を試乗する連載コラムです。更新は原則隔週土曜日。アーカイブはこちら
■主なスペック スイフトスポーツ 6MT(試乗車)
全長×全幅×全高:3890×1735×1500mm
ホイールベース:2450mm
車両重量:970kg
エンジン:直列4気筒直噴ターボ
総排気量:1.4L
最高出力:103kW(140ps)/5500rpm
最大トルク:230Nm(23.4kgm)/2500~3500rpm
トランスミッション:6速MT
駆動方式:前輪駆動(FF)
タイヤサイズ:195/45R17
定員:5名
燃料タンク容量:37L
ステアリング:右
車両本体価格:183万6000円