長期休校ストレスで自殺・いじめリスク高 子供の変化に目配りを

 

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が解除され、1日から全国各地で学校が本格的に再開した。約3カ月に及んだ異例の長期休校措置が子供の精神状態に与えた影響は大きく、子供の自殺や「コロナいじめ」が懸念されている。毎年、長期の休み明けに自殺件数が増える傾向にあるが、この6月は、緊急事態宣言下の緊張感によるストレスが重なり、リスクが高まっていると指摘されている。専門家は各家庭に「子供の様子の変化に特段、注意を払ってほしい」と呼びかけている。(吉沢智美)

 「突然の休校で目標を失ってしまった」「勉強が手につかない」「将来が不安になる」。

 18歳以下を対象にした相談窓口「チャイルドライン」を運営するNPO法人「チャイルドライン支援センター」によると、新型コロナの感染拡大で学校の休校が長引いて、子供らから不安を訴える相談が相次いでいる。

 同センターによると、2月28日から4月30日までに寄せられた、新型コロナに関連する相談件数は約730件。「親もコロナのことでイライラしていてうざい」など、自宅で長時間、親と一緒にいることに端を発した心理的負担をうかがわせる相談も目立った。

 新型コロナの影響で、全国の学校に安倍晋三首相が3月2日から春休みまでの臨時一斉休校を要請。緊急事態宣言が全国に拡大されてからはほぼ全国の学校で休校措置が取られ、この6月から、児童生徒らはほぼ3カ月ぶりに学校に登校することになる。

 日本小児科学会が5月下旬にまとめた、新型コロナが子供らに与えた影響に関しての調査分析では、休校措置で社会的な交流が減ることが子供を抑うつ傾向に陥らせていると指摘。さらに、自宅に引きこもる外出自粛が子供の内面にも変化を与え、ストレスや鬱憤(うっぷん)を高めているという。

 文部科学省の調査によると平成30年度、5人の小学生、100人の中学生、227人の高校生が自ら命を絶っている。例年、1年のうちでは、長期間の休み明けが特に自殺が増える傾向にあるとされてきた。

 昭和48年度から子供の自殺状況について調査している国の自殺総合対策推進センターによると、近年、1年のうち夏休み明け前後となる8月下旬から9月上旬にかけての発生件数が最も多い。平成18年から27年の統計を見ると、年度替わりとなる3月から4月にかけてや、受験などを控える1月にも自殺件数は増える。

 今年は新型コロナの感染拡大が原因で時期がスライドし、専門家は「6月危機」への警鐘を鳴らす。

 文部科学省は学校再開に向けて、生徒のケアやサポートに関するポイントをまとめ、全国の教育委員会や関連団体に通達。生徒へのアンケートやスクールカウンセラーによる個人面談などを行って自殺の兆候を早期につかみ、防止対策に乗り出すよう求めている。

 文科省の担当者は「家庭での不和などによるストレスを抱えながら登校する子供もいるだろうし、よりいっそうの注意喚起が必要だ」と強調する。

 一方、チャイルドライン支援センターの高橋弘恵専務理事は新年度で担任の教師が変わってしまい、学校側が子供の微妙な変化に気付きにくいリスクを指摘。「子供にストレスがたまっている中で、学校再開後に(校内で)いじめに発展することがあるかもしれない」とも指摘する。