都知事選、投票率どうなる? コロナ禍で有権者心理変化
新型コロナウイルス感染への警戒が続く中、5日に投開票が行われる東京都知事選では投票率の動向が注目される。緊急事態宣言中に実施された各地の区市長選では投票率の低迷が目立ったが、宣言解除後には上昇傾向が見られ始めた。「3密」回避で選挙戦は様変わりを余儀なくされているほか、社会不安が有権者心理を変化させたとの見方もあり、投票行動は読みにくい情勢となっている。(石原颯)
■9選挙で過去最低
緊急事態宣言は7都府県で4月7日に発令。同16日には全国に拡大した。宣言下では全国で15の区市長選が行われたが、73%の11選挙で投票率が前回選(無投票の場合は前々回選)を下回った。60%に当たる9選挙では過去最低となった。
4月19日の富山県魚津市長選は46・00%で前回選(71・15%)から25ポイント以上も下がった。同26日の岡山県倉敷市では25・65%(前回比11・54ポイント減)に留まり、有権者の約4人に1人しか投票に行かなかった。
宣言は39県で5月14日に解除。同25日までには東京や大阪など8都道府県でも解かれた。解除後、6月28日までに実施された8つの区市長選のうち63%に当たる5選挙で投票率が前回選を上回った。
6月7日の港区長選では前回選(24・25%)から6ポイント近く伸びる30・04%を記録。平成4年以来28年ぶりの3割超えとなり、区選挙管理委員会幹部は「候補者が掲げる政策としての新型コロナ対策に注目が集まったのではないか」と驚きをあらわにした。
栃木県鹿沼市や静岡県下田市など4選挙でも1・2~3・06ポイント上昇した。
■社会変える一票
宣言解除の前後で投票率の浮き沈みが特徴的に表れた。感染拡大を受けて各地の選挙戦では、候補者が3密回避のため、大規模な演説会を自粛するなど従来とは異なる選挙戦を強いられたほか、不要不急の外出自粛が要請されたことも影響を及ぼした可能性がある。
政府は「選挙は民主主義の根幹をなす」(安倍晋三首相)として外出自粛の対象から除外したが、新潟青陵大の碓井真史教授(社会心理学)は「自らの一票が社会を変えるという投票行為に有能感が感じられなければ、感染リスクを冒してまで行かない。感覚的には不要不急に近かったのではないか」と分析する。
一方、宣言解除後に上昇した背景として、早稲田大の遠藤晶久准教授(投票行動論)は「生活スタイルが日常性を取り戻す中で、投票率低迷の一因である『誰が選ばれても同じ』という意識が変わった可能性がある。行政のコロナ対応をシビアに捉え、リーダーとなる人の資質を見極めようとするようになった」と有権者心理の変化を指摘する。
都知事選でも、テレビ会議アプリなどを取り入れた「オンライン選挙」の存在感が増している。異例の選挙戦となったことで、都議会関係者は「投票率は5割を切る」と予想する。
一方で「ネットでの訴えが浮動層に響き、投票に行ってもらえるかもしれない」(陣営関係者)と期待する声もあり、選挙戦終盤を迎える中で各陣営が票の掘り起こしを進めている。