コロナ対策、受動喫煙防止にも有効
新型コロナは飛沫(ひまつ)感染と接触感染で広がり、最近の研究では「エアロゾル感染」も疑われている。エアロゾルとは、霧や煙のように気体中に微小な液体や固体の粒子が浮かんだ状態をいう。エアロゾル感染は、空気中に浮遊するウイルスを含む微小な飛沫を吸い込むことが原因と考えられる。
水滴の大きさと、その落下速度を計算した結果をグラフに示す。水滴が小さくなると落下速度は小さくなり、空気中に漂うようになる。飛沫も主成分は水であり、その落下速度はグラフのように粒子径により変わる。
飛沫はくしゃみや咳(せき)、発声などに伴い発生するが、直径が0・1ミリを超えるようなものは落下しやすい。感染対策としては飛沫の落下したテーブルの消毒や床の清掃が重要である。
5マイクロメートル(1マイクロメートルは千分の一ミリ)程度以下の飛沫の微小粒子は落下速度が小さく、空気中を長時間漂うことから、空気が室内で循環すると飛沫も循環し感染の危険性が高まるので、確実に室外に排出しなければならない。喫煙室の基準と同じレベルで一般室内の換気ができれば、エアロゾル感染の予防が期待できるであろう。
マスク着用には飛沫の飛散防止と飛沫エアロゾルの吸入防止の役割がある。大きな飛沫はマスクの網目で捕集されるが、網目よりも小さいエアロゾル粒子は素通りするのではないかという疑問がある。
日本エアロゾル学会の「新型コロナや花粉症でのマスク装着に関する見解」によると、小さなエアロゾル粒子は空気分子との衝突によるブラウン運動でジグザクに進み、マスク繊維に捕らえられる。一般環境では特に高性能マスクは必要ないが、着用時にはマスクと顔の間に隙間のないようにすることとある。
たばこから立ち上る副流煙や喫煙者が吐き出す呼出(こしゅつ)煙を吸い込む受動喫煙を、2次喫煙という。改正健康増進法の施行で屋内は原則禁煙となったが、屋外喫煙所付近では2次喫煙の可能性を否定できない。たばこの煙は粒子の大きさが1マイクロメートル程度のPM2・5に該当するエアロゾルである。前述の日本エアロゾル学会の見解によると、マスクはこうしたエアロゾルの吸入防止に有効と考えられる。マスクでは一酸化炭素などのガス成分は除去できないが、タールやニコチンなどの有害物質を含むエアロゾル粒子の低減効果は期待できる。コロナ感染防止と2次喫煙防止のためにも、隙間のないマスク着用をお願いしたい。
受動喫煙には喫煙者の着衣や髪の毛、喫煙場所のカーテンや壁などに付着したたばこの煙の残留物による3次喫煙もある。3次喫煙は喫煙者と一緒に暮らす全ての人やペットにもリスクが及ぶ。対策としては禁煙がベストだが、次善の策として、喫煙者を隔離し屋内で喫煙させないこと、喫煙者やその着衣への接触を避け触ったらせっけんで手を洗うこと、家具やカーテンなどに付着した、たばこの煙残留物を清掃し除去することなどがある。これらは接触感染防止対策と変わるところはない。
ウイルス対策の究極目標はウイルスの根絶である。受動喫煙対策も喫煙者がみな禁煙すれば不要となる。ともに目標が達成される日の到来を心待ちにしている。
(高崎健康福祉大教授 東福寺幾夫)