都会で暮らし、地方で副業 コロナ禍で注目「新しい働き方」
新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務やテレワークが広がる中、副業でも新しい働き方が生まれている。都市部に暮らしながら、地方で副業をする「ふるさと副業」。地元や地方に貢献したい人や、将来的にU・Iターンを計画する人らから、熱い視線が集まっている。受け入れる地方側も人材不足の打開になると期待が高まっている。
「(コロナ禍で)現地に行けないので自宅で体験できるものを売る」「ターゲットの客層を具体的に絞る」「インスタグラムを使った投稿を活用する」
石川県が主催するリクルートキャリアの社会人向けのインターンシップ交流イベントが今月3日、オンライン上で開催された。石川県の企業3社と、同県で副業や兼業、U・Iターンなどを考える首都圏在住者ら約40人が参加し、ワークショップ(体験型の講座)が行われた。
参加した企業は介護食・医療食の製造・販売を手がける「大和」(小松市)、学生の就活支援などを手がける「ガクトラボ」(金沢市)、老舗和菓子メーカー「柚餅子(ゆべし)総本家中浦屋」(輪島市)の3社。
このうち中浦屋では、コロナ禍以降、観光客が激減する事態に直面している。そうした中でも「ECサイトの売上比率を拡大させたい」という課題について、参加者らが冒頭のような議論を展開した。コンサルティング会社に勤務する人やIT業界に携わる人など、参加者らの本業を生かした活発な意見が交わされた。
中浦屋の中浦政克社長は「これまで考えつかないようなことを聞いて、非常に参考になった。みなさまのようなお力が必要だと感じた」と話した。
参加した40代の女性は、「石川県出身なので、自分の持っている知見で石川県の役に立てたらいいなと思って参加した」と話す。
一方で、同県出身ではないという30代の男性は「地域活性に興味がある。全国で困っているところの役に立ちたい」と語った。
「企業がどういうことをやっていきたいかをワークショップ形式でディスカッションして、一緒に働きたいということを実際にやっていき、マッチングするというのが流れです」
リクルートキャリアの社会人インターンシップサービス「サンカク」責任者、古賀敏幹(としき)さんは、今回の取り組みについてそう説明する。同社では、平成30年からサンカクを運営。地元や地域と関わりたい都市部の社会人と、優秀な人材を確保したい地方の中小企業をリモートワーク副業でマッチングさせる「ふるさと副業」を提唱している。
政府が働き方改革で副業を推進するほか、コロナ禍以降、在宅勤務やテレワークなどが浸透した。ふるさと副業も新しい働き方として注目が高まっている。今年8月時点で、サンカクの登録者数は累計5・3万人、サービスを利用した企業は延べ約280社に上っている。
これまで地域貢献というと、U・Iターンなどがメインで、ハードルも高かったが、副業やリモートワークの浸透で、関わり方の選択肢も広がりつつある。
古賀さんは「副業は住んでいるエリアでする必要もない。ふるさと納税のような形で、都市部に住んでいても、地域に貢献できる選択肢が増える。地域への愛着など、思い入れを持って副業ができるのが魅力」としている。