過度な応援には罰則規定も 「コロナ」で変わる「駅伝」風景
秋の深まりとともに本格的な駅伝シーズンがやってきた。一般道を走るロードレースは、選手やチーム関係者ら大会に携わる人の数が多くなるため、新型コロナウイルスの感染防止策が難しい競技の一つだ。開催に踏み切った大会の主催者はレース直前まで選手らの体調管理に細心の注意を払う一方、大会を「無観客」に近づけるべく、沿道での応援自粛を呼びかけており、コロナ下での駅伝の風景も様変わりしている。
分かれる開催可否
今シーズンの駅伝の中には、開催中止を決定した大会もある。学生三大駅伝の初戦となる出雲全日本大学選抜駅伝(島根県)は10月11日に開催予定だったが、地元ボランティアの半数近くが高齢者であることなどから「選手や関係者の安全確保が困難」と判断し、中止となった。また、毎年1月に開催される男女の全国都道府県対抗駅伝も、異なる所属先から選手や関係者が一堂に会する大会であるため、感染リスクを考慮して中止が決まっている。
一方で、日本陸連は6月に駅伝を含むロードレースの再開に向けた指針を公表。開催地の自治体から許可を得ていること▽参加者の健康状態の管理体制が整えられていること▽ソーシャルディスタンス(社会的距離)を確保した会場になっていること-などを開催の可否を判断する材料に挙げ、陸上競技の発展のため、やみくもに大会を中止するのではなく、新たな大会の形を模索することを呼びかけてきた。
過度な応援は厳禁
そんな中、全国規模の大会として、10月18日に全日本実業団対抗女子駅伝予選会(福岡県)、同25日に全日本大学女子駅伝(宮城県)、11月1日に全日本大学駅伝(愛知~三重県)が相次いで開催された。
従来の駅伝では、学校や企業の関係者が沿道にのぼり旗を掲げて応援する光景が一般的だが、今年の沿道は例年に比べて人は少なく、がらんとしていた。実業団対抗女子駅伝予選会の開催にあたって、日本実業団陸上競技連合は出場チームにあらかじめ応援自粛の同意書を提出させ、現地で過度な応援が確認されたチームには次回大会の出場権を剥奪するといったペナルティーを設けることを発表。同連合の友永義治専務理事は「スタート地点が少し密になってしまったが、ほとんど問題はなかった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
無観客は不可能
ただ、駅伝開催にあたって最大の懸案事項となるのは、沿道の一般客の応援をどれだけ減らすことができるかだ。公道を使用するため完全にシャットアウトすることは不可能。実業団女子駅伝予選会の開催自治体である福岡県宗像市は新聞の折り込み広告を5万枚刷って、各家庭に自粛を呼びかけた。
仙台の都市部を走った全日本大学女子駅伝に参加した各校も関係者には現地ではなく、テレビでの応援を求めた。優勝した名城大の加世田梨花主将は「正直、沿道に人がいないことの寂しさはあったけど、前日までにたくさんの応援メッセージや電話をもらって、多くの人に支えられていることを実感できた」。国民的人気が高い駅伝はテレビで全国中継されるため、コロナ下での新たな応援の形ができつつある。
ただ、実業団女子駅伝予選会では、コース周辺に世界遺産である宗像大社があり、三重県伊勢市がゴールとなる全日本大学駅伝も観光名所がコース上に点在しているため、観光スポット周辺では自然と沿道の人が多くなる傾向が見られた。主催者が目指す「無観客」の実現は容易ではない。
今後、年末年始にかけても12月20日に都大路を走る全国高校駅伝や、正月の東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)など注目度の高い大会がめじろ押しだ。箱根駅伝もすでに無観客での開催が発表されているが、大会関係者は「できる限り無観客に近い状態を作り出すことができるよう、根気強く呼びかけていくしかない」と話す。選手や関係者だけでなく、一般客の応援マナーも問われている。(丸山和郎)