グローバルリーダーの育て方

低コストでも英語力を磨ける 言語習得に不可欠な3つの「仕掛け」

龍芳乃

 今までもこの連載でそれとなくお伝えしてきたことですが、改めて端的に申し上げます。

言語取得への近道は…残念ながらありません。

日本で英語を習得するためには、意思・投資・環境へのコミットメントが不可欠です。

 まず「意思」ですが、この記事をタップまたはクリックしたという時点で、皆さんは「子どもに英語を学んでほしい」と感じているに違いありません。つまり、意思はすでにお持ちだということです。

 次に「投資」。「投資が不可欠って…タイトルと言っていることが違う!」とお感じになりましたか? そんなことはありません。 投資はお金に限ったことではありません。Time is money(時は金なり)というように、時間を使うことも投資です。

 時間を使って、低コストで英語に触れさせつつ、子どもに英語に興味を持ってもらうようにすることはそんなに難しいことではありません。

 実は私自身もいま、皆さんと“同じ悩み”にぶつかっています。そこで、お金をあまりかけなくてもできる英語を学ぶための「仕掛け」をシェアしたいと思います。

自然と耳に入る「環境」をつくる

 さきほど“同じ悩み”と申し上げましたが、私は夫と、息子2人(4歳と1歳)に、日本語・英語に加えて中国語をどうにか習得させようと試みているところです。

 中国をルーツとする夫の親戚・家族とのコミュニケーションに欠かせないというのが一番の理由です。加えて、「科学技術強国」を目指す大国の言語を学んでおくのは、将来の強みになると考えているからです。

 息子たちの中国語習得に向けて実践する我が家でのちょっとした工夫をご紹介しますので、皆さんのお子さんの英語習得と置き換えて読んでみてください。

 私たち夫婦もいろいろ考えました。

  • いつどれくらいの時間をかけて中国語を習得させるか
  • 毎日大忙しで時間が過ぎ去る中で、どこに中国語教育を入れ込む余地があるか

 我々が出した答えは、「中国語が自然と聞こえてくる環境」をできる限り「仕掛ける」ことです。

 例えば、朝まず起きて私がすることは、洗面所のデジタルラジオをかけて中国語のニュース番組を流すこと。洗面所に行くと、嫌でも毎度中国語が聞こえてきます。

 歯ブラシしているときに、真剣にラジオを聞くことは強要しません。ラジオが流れるそばで親子の会話が繰り広げられることももちろんあります。でも一日に複数回中国語に触れる環境が用意されると、ふとした習慣に聞こえてくる単語を覚えていたりするものです。

 他には、息子たちのiPadに、中国語のアプリをインストールしたり(ほとんどが無料のものです)、BGMとしてかける音楽を私の好きな中国人歌手の曲にしたりします。

 もちろん、このような、小さな努力だけで中国語を習得することはできません。ただ、日々触れることで、中国語が日本語や英語とは別の言語であることや、音のニュアンスなど、得られることはあると信じています。母である私も一緒に学べるので、我が家ではこのような習慣が定着しました。

インターナショナルスクールのイベントに「楽しく」ゲスト参加

 英会話教室やインターナショナルスクールには、外部の生徒も参加できるイベントを開催しているところが多いようです。例えば、私が運営するインターナショナルスクールでは先日、ハロウィンイベントを(コロナ対策を十分行った上で)開催しました。在校生も参加してくれましたが、ゲストも参加してくれました。

 我が校に限らず、このようなイベントは単発で参加できる上、お手頃なものが多いようです。英語に親しむという意味でもお子さんを参加させてみるのも手です。

 前回「子供が英語を好きになる・嫌いになる分かれ道」で書いたとおり、「好き!」と思える理由はなんでもよいのです。ハロウィンが楽しいから、英語の環境がなんとなくワクワクして好きと思ってくれればこちらの勝ちです!

ボランティア活動で「できなかった」を味わう

 英語は「できない!! どうしよう!!」「あの外国人ともっとスムーズにコミュニケーションしたかった」という悔しい経験をすると、やる気になりますよね。英会話教室にお金を払って毎週「やる気を買う」のも一つ手ですが、一つ良い方法があるので提案させてください。

 訪日外国人向けにボランティアで、観光案内をしてみるのはいかがでしょうか。

 街頭ボランティアガイドを運営している「Japan Local Buddy(ジャパン・ローカル・バディ)=JLB」(外部サイト)という活動があります。「How Can I Help You?(お困りですか?)」と書かれた看板を持ち、街中で外国人をガイドする活動です。

 急にハードルが高い! と感じましたか? ご安心ください。実は、多くの場合、相手も英語圏からの旅行者ではないため、互いに手振り身振りで会話をしています。

  • 旅行客:Good Japanese food. Where?(おいしい日本食。どこですか?)
  • ボランティア:Beef, ok ? Let’s go. (牛肉は大丈夫? なら、ご案内します)

 ジャパニーズイングリッシュでも問題ない! カタカナ英語でも問題ない!

 また、保護者同伴が必須ですが、子供の参加も可能です。

 コロナの影響もあり、外国からの旅行客数はぐっと減ってしまいましたが、コロナが落ち着いたら、このようなものに参加してみてはいかがでしょうか。

 注意点として、JLBでボランティア活動するためには、登録が必要です。また、現在はコロナの影響で外国人旅行客が街にいないため、オンラインで交流の機会を設けているようです。ご興味ある方は、ぜひ問い合わせてみてください。

龍芳乃(りゅう・よしの) 株式会社G&G 代表取締役
日・英・中のトライリンガル。大学卒業後、PR会社、外資系コンサルティング会社を経て2013年に起業。世界で通じる「人間力」の基礎を育む「GG International School」を経営。「Art to Science」をベースに0歳から小学校高学年まで学べるプログラムを用意し、人格形成の根幹となる揺るぎない自信を育んでいる。2児の母。

【グローバルリーダーの育て方】は、100%英語環境の保育園やアフタースクールを経営する女性社長・龍芳乃さんが、子供が世界で通じる「人間力」「国際競争力」をどう養っていくべきかを説く連載コラムです。アーカイブはこちら