全国の重症者数や新規感染者が過去最多を記録し、誰しもが、新型コロナウイルスの「第3波」を痛感せざるを得ない状況となっている。
第1波、第2波と過去の例を見る限り、ピークからその狭間まで、1ヵ月半から2ヵ月を要している。仮に今がピークだとすると、いったん落ち着くのは1月半ばから2月初旬になる。しかし、第3波のピークが今から2週間ほどずれ込めば、1月下旬までに落ち着き取り戻すのは難しくなってくる。
そんな状況にあるからには、受験日直前に新型コロナがどのような事態になっているのか、受験生自身もさることながら、おそらくはそれ以上に、受験生を持つ親は気が気でないことだろう。
「1月は受験させない」と明言する親
今年度の大学入学共通テストは1月16日・17日に行われることになっている。中学入試についても、地域によっては(例:関西、埼玉県・千葉県など)その前後から始まる。新型コロナとの関係では、入試日程の違いによる運・不運も出てきてしまいそうだが、以下、本命校の受験日が2月1日に集中する東京都内の中学受験を念頭に話を進める。
塾業界では、どの日にどの学校を受験するのかという組み立てを「受験パターン」と呼んでいるのであるが、今年度は、この受験パターンに関する基本的な考え方に変化が生じている。
例年であれば、1月中に「押さえ」の学校の合格を確保した上で、精神的な余裕も持って、2月1日から数日間の本命校の入試に臨むというのが常道であり、塾側も「本命校の入試の前に押さえ校の合格を確保しておくこと」を強く勧める傾向にあった。
しかし、今回はこのコロナ禍の中である。受験回数を増やせば増やすほど感染リスクも高まることは小学生にだって分かる。そもそも、合格しても進学する気のない学校を受験することに、予行演習とは言っても、気が進まない受験生も少なくはない上に、1月の中旬に感染すると、2月1日直前に発症する可能性がある。逆に、万が一2月1日に感染したとしても、受験期間中に発症するとは考えにくい。
となると…押さえ校を受験することによる感染リスクは避けたほうがよいのでは? という考えが頭をもたげてくる。実際、進路相談の際に受験校を聞くと、「1月は受験させない意向である」ことを明言される保護者(特に父親)が1~2割ほど、という印象だ。
塾側としては、保護者の意向を差し措いてまで押さえ校の受験を勧めるわけにはいかず、保護者が1月に押さえ校を受験させるつもりでいることを見極めた上で相談にあずかる、という状況になっている。
例年のインフルエンザであれば、発症して38度以上の高熱を発していても保健室で受験させてくれる学校は多かったが、新型コロナとなればそうはいかない。別室受験させてくれる学校は皆無だろう。
また、受験生本人が濃厚接触者に認定されてしまえば、あるいは発症していなくても陽性となってしまえば、道義的に受験会場に入らせるわけにはいかないはずだ。
コロナ禍下の受験パターンは二つに分かれるか?
詰まるところ、今年度については、受験パターンを組む上での考え方は大きく二つに分かれる模様である。
- A. 新型コロナ感染リスクは特に考慮せず、例年どおり、1月に押さえ校の合格を確保して、2月1日からの本命校に臨む
- B. 2月1日以前の新型コロナ感染リスクを極力回避するため、1月の押さえ校受験は見送る
一方で、現時点で1月中旬~2月初旬の状況を見通すことは難しい。今すぐに押さえ校受験の適否を判断するよりは、1月受験をする場合、しない場合の二つの受験パターンに対応できるようにしておき、正月明け早々に結論を出すのが賢明かつ合理的かもしれない。
その場合も、受験生自身の納得感とモチベーション維持のためには、方針とそう構える理由を親子でしっかりと共有しておきたいことは言うまでもない。
【受験指導の現場から】は、吉田克己さんが日々受験を志す生徒に接している現場実感に照らし、教育に関する様々な情報をお届けする連載コラムです。受験生予備軍をもつ家庭を応援します。更新は原則第1水曜日。アーカイブはこちら