100歳時代プロジェクト

健康の鍵握る「腎臓」 機能悪化はコロナで死亡リスクにも

 誰もが100歳まで生きられるようになりつつあるなか、健康寿命を全うするには体内の各臓器の状態を健全に保つことが大切だ。特に腎臓は機能が低下すると、広範に悪影響を及ぼすので注意する必要があるという。さらに最近、新型コロナウイルス感染症の重症患者にとって死亡リスクを最も高める持病が腎臓病であるとのデータも示され、専門家は、健診で腎機能の低下を早期から把握すべきだと指摘する。(山本雅人)

 80代の半数も

 腎臓の健康を保つことの重要性を強調するのは、平成横浜病院総合健診センター長の東丸(とまる)貴信医師(東邦大名誉教授)だ。

 「慢性腎臓病(CKD)は新たな国民病」と東丸氏。国内のCKDの患者数は約1300万人と推計されており、成人の8人に1人、80代では2人に1人が該当するという。進行して末期の腎不全になると人工透析が必要となるなど、日常に大きな負担がかかる。加えて、動脈硬化が進行してしまい、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすリスクが高まる。

 最近の研究で、腎臓と心臓の働きには密接なつながりがあることが明らかになっており、「注目すべきは、腎臓を悪くして重症化した場合、最終的には末期の腎不全で亡くなるリスクよりも、心筋梗塞などで死亡するリスクの方が高くなること」だという。心筋梗塞や脳梗塞を発症すれば生命の危険に直面するだけでなく、一命を取り留めてもその後の日常生活に大きな制約を伴う。

 腎臓は血液中の不純物を取り除き、尿として排出する役割を担うが、機能が低下すると塩分や水分を十分に排出できず、血液量が増加して血圧が上昇。それによって動脈硬化を引き起こし、腎臓内部の細い血管が詰まりやすくなることで、腎機能をさらに低下させる-という悪循環も指摘されている。

 eGFRを確認

 また、東丸氏は「重い腎臓病の人は、新型コロナウイルスに感染して重症化した場合、他の持病に比べて死亡リスクが高くなる」と注意を促す。

 東丸氏が根拠とするのが、国立国際医療研究センターが中心となって、新型コロナの重症患者などに関する情報を収集したデータだ。数多くのデータから重症患者の持病について調べたところ、最も死亡率が高かったのは腎機能障害が進行した人で、約5割。慢性呼吸器疾患の4割を上回っており、「腎臓が悪い人は抵抗力が落ちていることが多く、インフルエンザなど他の感染症でも重症化すれば死亡リスクが上がるので注意してほしい」と話す。

 腎機能の低下は自覚症状がないため健診データでの把握が重要となるが、「他の臓器と違って、数値に変化が表れてきたときには結構悪化しているケースも多い」(東丸氏)という。

脱水は腎機能のリスク

 従来、尿検査と併せ、血液検査の「クレアチニン」という項目がその指標の一つとされてきた。筋肉内のアミノ酸が分解してできる物質で、腎機能が低下すると血中から排出されにくくなるため数値が上昇する。ただ「高齢者は筋肉の量が少ないので、若い人に比べ数値が低めに出る傾向がある」とし、「年齢、体重、性別なども加味した『eGFR』という項目を参考にしてほしい」と話す。

 eGFRは数値が下がるほど悪く、90以上が正常、89~60が軽度の腎機能低下、59~30が中等度の機能低下、29~15が高度の機能低下-とされる。

 東丸氏は「軽度の腎機能低下であっても、尿タンパクの項目も『+』になっている人は必ず医療機関を受診してほしい」としており、「高齢者は腎機能を悪化させる脱水になりやすいので、水分摂取にも注意して生活を」とアドバイスする。