2人以上世帯が保有する預貯金や有価証券など金融資産の平均額は1436万円、単身世帯の平均額は653万円。金融広報中央委員会が2020年の「家計の金融行動に関する世論調査」を発表すると、SNSでは「いや、それは絶対ない」「回答者に偏りがある気が」といった声が相次いだ。平均額が必ずしも平均的な家計像を示しているわけではない、と感じる人は少なくないようだ。そこで家計実態を把握する数値として注目されているのが「中央値」だ。与信管理サービスを展開する「リスクモンスター」はこの中央値を採用。生活習慣と金融資産の相関性を調査した。生活習慣と貯金額にいったいどんな相関関係があるのだろうか。
実態と乖離する「平均値」
「アンケートに回答した人の中に貯金額が非常に多い方もいて、平均値を取ってしまうと分析結果資料としては相応しい数値にならないとの観点から、平均値(額)の表記をやめました」
こう話すのは、リスクモンスターの担当者。同社が2月26日に公表した「お金が貯まる人のライフスタイルアンケート」調査結果では、貯金(株式などの金融商品を含む)の平均額は公表していない。「アンケート回答数の母数が少なく、平均値を取ると下の人と上の人との差があり、分析結果として使えなかった」(担当者)というのが理由だった。
平均的な家計像から平均値が乖離(かいり)する理由は簡単だ。大きな資産を保有する少数世帯が平均値を押し上げてしまうためだ。リスクモンスターが実施した調査に回答したのは500人。例えば、この中にたまたま数十億円の資産を持つ人が入ってしまえば、平均値は大きく上振れすることになる。
これに対し中央値は、調査対象世帯の保有額を順番に並べ、そのちょうど真ん中に位置する世帯の金額。一般の感覚としては、平均値よりも家計実態に近い数値といえる。
リスクモンスターの調査によると、貯金額(金融資産)の中央値は「300万円」だった。
金額の範囲別では「100万円以上300万円未満」が18.8%と最も多く、「1000万円以上3000万円未満」(18.4%)が続いた。次いで、資産を持たない「0円」と「500万円以上1000万円未満」がいずれも16.0%で並んでおり、中央に位置しているのが300万円ということになる。
ちなみに、既婚者の中央値は400万円で、未婚者(200万円)の2倍。3000万円以上の資産を保有する人の割合も、未婚者(4.4%)より既婚者(10.9%)の方が2倍以上高かった。年代別では、60代が800万円と最も多く、50代は500万円、40代300万円と続いた。
実は1月29日に公表された金融広報中央委員会の調査でも、中央値は公表されている。それによると、2人以上世帯の中央値は419万円で、単身世帯は50万円だった。ただ、平均額(値)を中心に報じられることが多いため、「平均額1436万円」という数字が強調される傾向にあるようだ。
運動するとお金が貯まる?
リスクモンスターの調査では、貯金額と生活習慣、ライフスタイルの相関性についてもアンケートを取っている。日常的な運動の有無別の貯金額では、日常的に「運動している」人の中央値が400万円だったのに対し、日常的に「運動をしていない」人の中央値は200万円だった。
スポーツ種目別の集計では、「水泳」が中央値1500万円と最も多く、「ゴルフ」の中央値900万円を上回った。次いで、スポーツジムの中央値800万円。水泳やゴルフをする人は金銭的なゆとりのある人が多いのだろうか。貯金額とスポーツ種別との相関性はともかく、日常的な運動を欠かさない人は貯金も多い傾向にあることがうかがえる。
睡眠時間別では「6時間~7時間」が中央値400万円と最も多く、次いで「7時間~8時間」が同300万円、「5時間~6時間」が同260万円と続いた。また、日常的に朝食を「食べる」人の中央値は300万円で、日常的に朝食を「食べない」人(同100万円)より多くの資産を保有していた。
同社は「もしかしたら規則正しい生活を送っている人の方が不規則な生活をしている人よりも計画的な貯金が出来ていたり、余計な出費が発生しにくかったりするということがあるのかもしれない」とみているが、ユニークなのは、朝食の内容についても調査している点だ。
朝食別の貯金額は「洋食派」が中央値375万円だったのに対し、「和食派」は同300万円だった。サンプル数は500とそれほど多くない上、1回目の調査ということもあり、洋食と和食でどこまで有意の差があるといえるのか不明だ。
いずれにせよ、朝食を食べない人(中央値100万円)とは3倍以上の差が生じており、規則正しい健康的な生活習慣を築いている人の方が貯金額は多い傾向にあるのは確かなようだ。
貯金額を少しでも増やしていきたいと考えている人は、生活習慣を見直してみるのも良いかもしれない。