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なぜ今「大人レゴ」がウケているのか? 人気急上昇の背景に迫る

SankeiBiz編集部

 新型コロナウイルスの感染拡大による「巣ごもり」需要で、デンマークの世界的なブロック玩具「LEGO」(レゴ)の人気が高まっている。急成長の一翼を担っているのが大人をターゲットにした「大人レゴ」だ。アートや車、盆栽など大人の趣味嗜好に合わせた商品で、日本での2020年度の売り上げは昨年比プラス134%と大きく伸長。「大人レゴ」をさらに強化するため、レゴジャパンは現在約60種類あるラインナップを年内に倍の約120種類まで拡充するという。なぜ今、「大人レゴ」がウケているのか。人気急上昇の背景に迫った。

 欧米では大人の趣味としても定着

 「大人レゴ」という名称に「大人でもレゴで遊んで良いんだ」と思った人も少なくないのではないか。レゴといえば、子供の頃に遊んだブロックのおもちゃ。説明書通りに家や城などを作ったり、自由な発想で何かを作ったりして遊んだという記憶がある人は、紛うことなき「レゴ第一世代」の大人たちだろう。

 日本では「子供のためのおもちゃ」とのイメージが強いが、レゴジャパンによると、「第三世代」まで育っている欧米では、コアな大人のファンがブランドストアの開店時に並んだり、組み立てたレゴをインテリアとして飾ったりするなど、大人が楽しむ趣味として定着しているという。

 そうしたニーズを受け、「大人が作っても十分作り応えのあるレゴ」が2000年に誕生。世界的に有名な建造物から始まり、車や映画など大人の趣味嗜好(しこう)にフィットするアイテムも次々と登場した。

 日本で「大人レゴ」と銘打ったコンセプトを発表したのは昨年5月だった。最初の緊急事態宣言発令後、巣ごもり需要で「在宅できる趣味」に関心が集まる中、レスリング女子で五輪3連覇の吉田沙保里さんら著名人がSNSで「#大人レゴ」というハッシュタグを付けて作品の画像を拡散。SNSを中心に話題になった。

 同社によると、コロナ禍で特に人気を集めているアイテムがボタニカルコレクションシリーズの「フラワーブーケ」。バラやキンギョソウ、ポピー、アスター、ヒナギク、ススキといったフラワーショップで作られるような本格的な花束で、入荷してもすぐ完売するほどの人気商品だという。

 非常に精巧な構造で、今の大人が幼少の頃に慣れ親しんだレゴのイメージとはだいぶ異なる。だが、よく見れば、葉の部分は恐竜で使われている羽だったりと、レゴファンの想像力をくすぐる?パーツの応用”は健在。遊び心も満載だ。

 「レゴ アート」シリーズは、レゴブロックの特徴を生かし、1つのセット商品から多様なバリエーションに作り変えることができる。数通りのデザインを楽しめる「ユニークなアート作品」で、例えば「ザ・ビートルズ」では、1つのセットからメンバー4人それぞれのポートレートに組み換えることが可能だ。「スターウォーズ」では「ダースベーダー」を含む3つのキャラクターに組み替えることができる。レゴアートセットにはそれぞれサウンドトラックが付属。ビートルズであればバンドの音楽やストーリーを感じながら組み立て作業を楽しめる。

手軽にマインドフルネスを実践

 趣味の時間の楽しさを複合的に膨らませる構成となっている「大人レゴ」。人気の背景には、瞑想(めいそう)やヨガなどを使った心のトレーニング方法「マインドフルネス」も関係しているようだ。

 レゴグループが世界18の市場で約1万8000人を対象に実施した調査では、大人の73%がストレスを解消する新しい方法を探しており、そのうち81%が「遊びはリラックス、ストレス解消に役立つ」と回答した。レゴジャパンPR担当の寺門久美子さんは「ストレスを抱えがちなライフスタイルで、レゴは手軽にマインドフルネスが実践できる方法の1つとして注目されている」との見方を示す。

 公認心理師の資格を持つ日本産業カウンセラー協会の伊藤とく美執行理事は「在宅続きによる家族との人間関係や、外出時の感染の恐怖など精神的ストレスを抱える中、多くの人が現実から離れて気持ちを落ち着かせる方法を求めている」と指摘。レゴは考えながら手先を動かすことで精神の安定と、完成したときの達成感が得られるといい、「幼少時代に遊んだ思い出も相まって、大人の世代で人気が出るのはとてもうなづける」と話す。

 2020年度のレゴグループ全体の売り上げは昨年比13%増、小売りベースでの販売額は同21%増となった。レゴジャパンの寺門さんは「大人レゴの拡大により、子供だけでなく大人も楽しめるアイテムとしてのイメージを日本でも定着させていきたい」と意気込む。

SankeiBiz編集部 SankeiBiz編集部員
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