春の「連ドラ」レビュー GWのおうち時間 「配信」で追っかけ容易に
新型コロナウイルス禍で東京など4都府県で緊急事態宣言が発出され、遠出もしにくい大型連休を迎えている。自宅で楽しむエンターテインメントの王様はやはりテレビだろう。地上波各局で主にゴールデンタイムに放送されている連続ドラマをレビューする(放送日時は在京キー局)。
コロナ禍が長引く中で連続ドラマはよく見られており、昨年の年間総合視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)でも、上位15位までにドラマ作品は6本もランクイン。過去の名作ドラマが多く再放送されたことで、ドラマの面白さが再確認されたとの見方もある。
4月スタートのドラマはまだ始まったばかり。大型連休にこれまでの放送分を一気に見て、追いつくことも簡単だ。NHK大河ドラマをはじめとする歴史もののほか、受験や教育、青春時代の群像劇、離婚後の生活…など、最新の世相を取り入れた幅広いラインアップ。年代を問わず、楽しいドラマが見つかるはずだ。
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テレビで放送が終了した番組の多くは放映から1週間程度、インターネットのサービスで無料で見ることができる。NHKは「NHKプラス」(受信契約者対象で申し込み手続きが必要)、民放なら「TVer(ティーバー)」で見逃し配信を行っている。
いずれも、ネット上のページを閲覧するブラウザ(マイクロソフトのエッジやグーグルのクロームなど)で見られる。スマートフォンやタブレットの場合は、専用アプリでも楽しめる。
さらに過去の番組を見たい場合は、Hulu(フールー)やTELASA(テラサ)、Paravi(パラビ)、FOD、NHKオンデマンドなど有料サービスの出番となる。視聴したい番組が提供されているか、しっかり確認してほしい。
フジテレビ系「大豆田とわ子と三人の元夫」 火曜午後9時
坂元裕二脚本で、大豆田とわ子(松たか子)とその元夫である田中八作(はっさく)=松田龍平、佐藤鹿太郎(かたろう)=角田晃広(かくた・あきひろ)、中村慎森(しんしん)=岡田将生=らによる軽妙洒脱な会話劇が繰り広げられる。
慎森の理屈っぽさや、鹿太郎の器の小ささ、そして何もしなくてもモテる八作と、それぞれのキャラを、各演者がいかんなく体現。そして、離婚してもなお、とわ子が大好きな3人によるバトル、特に鹿太郎と慎森の言葉のやり取りに、思わず笑わされたり、納得させられたり。
それでも、八作には親友の彼女である三ツ屋早良(石橋静河)、鹿太郎には撮影で出会った女優の古木美怜(瀧内公美)、慎森には公園で出会った小谷翼(石橋菜津美)と、それぞれ形は違えど新たな恋が生まれつつあり、そこでしどろもどろになったり、困惑させられたりする3人の元夫の姿もこれまたほほえましい。
一方のとわ子は、また新しい恋が生まれるのか。“四者四様”の恋の行方を、絶妙な脚本で楽しみたい。
NHK 大河ドラマ「青天を衝(つ)け」 日曜午後8時ほか
「日本資本主義の父」と称される実業家、渋沢栄一(吉沢亮)の生涯を描く大河ドラマは、激動の季節を迎えている。物語はこれまで、栄一が暮らす武蔵国血洗島(ちあらじじま)村(現在の埼玉県深谷市)のパートと、江戸城内などが舞台となる江戸パートを行き来しながら進行。
時代は切迫し、栄一も尊王攘夷の思想に飛び込んでいく。養蚕(ようさん)と染料となる藍玉(あいだま)作りを手掛ける農家の長男として生まれた栄一の人生が、いよいよ幕末の志士や一橋慶喜(草●(=弓へんに剪)剛)らと激しく交錯していくのだ。
イケメンなだけではない、熱い意志と行動力を感じさせる吉沢。高良(こうら)健吾、満島真之介らが脇を固める。栄一の妻、千代(橋本愛)の静かで芯の強そうな魅力も話題だ。
価値観の一大転換期を描く劇中と、コロナ禍の現在が地続きであることを意識させられる。後に500もの企業を育てる栄一は、時代の激流に翻弄されながらも決して自分を失わない。令和時代に通じる生き方のヒントがそこにあるか、楽しみながら確かめたい。
日テレ系「コントが始まる」 土曜午後10時
高岩春斗(たかいわ・はると)=菅田将暉(すだ・まさき)、美濃輪潤平(みのわ・じゅんぺい)=仲野太賀(たいが)、朝吹瞬太(あさぶき・しゅんた)=神木隆之介=によるお笑いトリオ「マクベス」と、なぜかマクベスにハマってしまった中浜里穂子(有村架純)らによる青春群像劇。この4人がそろって平成5年生まれで、まさに黄金世代の俳優が集結した。
結成10年で芽が出ないままのマクベスが、解散の是非をめぐって揺れる。特に春斗の胸中に去来する思いがあふれ出し、潤平との衝突や、瞬太への接し方など、“青春の蹉跌(さてつ)”といったものを如実に感じさせるところは、そんな時代を経験した層には、強い共感を与えるだろう。
一方で、笑えそうで微妙に笑えないような、いかにもこの10年、売れてこなかったんだろうなと思わせるコントを、当代有数の売れっ子俳優たちが繰り広げるのも見ものだ。
金子茂樹(しげき)によるオリジナル脚本で、マクベスの解散がどうなるのか。そしてそれぞれの人間模様がどう描かれていくのか。見どころは尽きない。
テレ朝系「桜の塔」 木曜午後9時
警察が舞台といっても、刑事ものとは一線を画し、警視総監を目指す壮絶な権力争いを描く人間ドラマ。「3年A組-今から皆さんは、人質です-」の武藤将吾(しょうご)が脚本を手掛ける。
主人公の警視庁捜査共助課理事官、上條漣(かみじょう・れん)=玉木宏=のダーティーさが際立つ。各話の事件で、裏から糸を引いているのがキャリアの上條。出世のため、悪魔に魂を売った上條の振る舞いが、今後の展開にどう影響してくるのか。
幼なじみでノンキャリアの捜査一課、水樹爽(みずき・さわ)=広末涼子=は、上條の野望と手口を知り、強くいさめるが、その暴走は簡単に止められそうにない。
また、上條の上司である刑事部長の千堂大善(せんどう・たいぜん)=椎名桔平、さらに警備部長の権藤秀夫(ごんどう・ひでお)=吉田鋼太郎、警務部長の吉永晴樹(よしなが・はるき)=光石研(みついし・けん)による権力争いも、一筋縄では行かなそうだ。
上條を変えた父の死の真実や、1話で上條に引っかかり、罪を犯した揚げ句、逮捕された蒲生兼人(がもう・かねと)=森崎ウィン=の出方など、この先も注目点は多い。
TBS系「ドラゴン桜」 日曜午後9時
桜木建二(阿部寛)の名せりふ「東大へ行け!」が一転、「お前ら、東大なんか絶対に行くな」へ。仰天の第2シリーズは、前作から15年余が経過し、劇中でも前作の15年後を描く。
前作では山下智久、長澤まさみ、小池徹平、新垣結衣、中尾明慶(あきよし)、サエコ(現・紗栄子)ら、そうそうたるメンバーが生徒役を演じた。今回の高橋海人(かいと)、平手友梨奈(ゆりな)、加藤清史郎らにも期待がかかるが、初回を見る限り、「東大専科」が回転し始めるまでには、第1シリーズよりも時間がかかりそうな雰囲気すらある。
今回、長澤演じる水野直美は、桜木の右腕として登場。2年前の事件を機に落ちぶれた桜木を捜すところから始まったが、この事件を起こした米山圭太(佐野勇斗)が、水野の高校の後輩であり、大学の同期入学である坂本智之(林遣都)のIT企業で働いているのも奇々怪々。
江口のりこ演じる龍海(たつみ)学園理事長が、桜木らの前に立ちはだかる。日曜劇場らしい味付けで描かれるこの後の展開が気になる。
テレビ東京系「珈琲いかがでしょう」 月曜午後11時6分
平成30年4月に始まった「ドラマBiz」シリーズのほか、一時を除き、月曜午後10時に放送されてきたドラマ枠が、「ワールドビジネスサテライト」の枠移動により、午後11時6分からの「ドラマプレミア23」枠の放送となった第1弾。
原作は、「凪のお暇」などでも知られるコナリミサトの同名漫画。主演の中村倫也(ともや)が、演じる主人公の「たこ珈琲」店主、青山一(はじめ)にそっくりと、放送前から話題を呼んでいた。
1話で2本のエピソードが描かれるオムニバス。コーヒーにまつわる話を取り入れながら、登場人物の人生に寄り添っていく姿が描かれる。ぎすぎすとした今、この時代にしみる優しさだ。
エピソードそれぞれに豪華ゲストが登場。オムニバスのため、1本平均20分強で描かれるのがもったいないほどのゲスト。
その中で、ストーリーの縦軸として、杉三平(磯村勇斗=いそむら・はやと)が、青山を捜し続けているが、その金髪のいでたちはチンピラそのもの。青山の過去とどう関わっているかも見どころとなる。