沖縄、GW中に変異株流入か 「予測できない拡大」
「われわれの感覚をはるかに超える感染拡大が目の前で起きている」。19日に会見した沖縄県の謝花喜一郎副知事は、危機感をあらわにした。
沖縄では、1人から何人に感染が広がるかを示し、1を超えると感染拡大に向かうとされる「実効再生産数」が急上昇している。5月の大型連休中までは0・8前後で推移していたが、連休後の1週間で1・62にはねあがった。県幹部は「まさかこれほど悪化するとは」と頭を抱える。
感染拡大の要因として指摘されるのが、連休中に来県した観光客数の増加による変異株の流入だ。沖縄観光コンベンションビューロー(那覇市)が連休前に発表した推計によると、4月29日~5月5日の観光客数は約7万4000人。コロナ禍前の一昨年の同時期に比べ約6割減だが、緊急事態宣言中だった昨年(約1万2000人)の約6倍増となる。
大型連休中の人出は、システム会社「アグープ」によるスマートフォンの位置情報を基にしたデータの分析でも裏付けられている。
沖縄都市モノレールの「那覇空港駅」と、国際通りなど繁華街に近い「牧志(まきし)駅」について、大型連休期間(1~5日)の人出の平均を100として前後2週間の土日の平均と比較したところ、那覇空港駅の連休中の人出は4、5月の他の土日と比べて18~36多かった。牧志駅では目立った増加はみられなかったが、減少もしていなかった。
昨年の大型連休(5月2~6日)と今年の大型連休を比べても、那覇空港駅で74、牧志駅では28増えた。
長引くコロナ禍で沖縄の観光産業は大打撃を受けている。令和元年に1016万人と初めて1000万人を突破した年間観光客数は2年には6割以上減少して374万人に。県関係者によると、庁内では連休中の全面的な来県自粛要請などより強い対応が検討されたものの、経済への影響が大きいとして見送られた。県関係者は「大型連休は沖縄のかきいれ時。全面的な来県自粛要請には踏み込めなかった」と打ち明ける。謝花副知事は「今取りうる全ての対策をとる」と話した。(川瀬弘至、橋本昌宗)