【富岡製糸場 世界遺産へ】8時間労働・寮完備 女性進出に一役

2014.4.26 21:47

世界文化遺産登録の勧告を受けた富岡製糸場の繰糸場=26日午前、群馬県富岡市

世界文化遺産登録の勧告を受けた富岡製糸場の繰糸場=26日午前、群馬県富岡市【拡大】

 富岡製糸場は、1日8時間労働や夏冬の長期休暇など、明治期の労働環境としては、女性工員にとって世界でもまれなほど恵まれていた。製糸技術を学んだ女性工員たちは帰郷後、各地で技術を伝えることにも貢献。こうした環境を、登録の事前審査を行った国際記念物遺跡会議(イコモス)も注目し、勧告に大きく影響したといえそうだ。

 女性工員の過酷な労働環境を描いた映画「あゝ野麦峠」(昭和54年製作)などの影響で、戦前の製糸場には暗いイメージがつきまとう。だが、富岡製糸場の環境は異なっていた。

 文化庁や群馬県関係者らによると、明治5(1872)年の設立当初に働いていた女性工員は約400人。労働時間は1日約8時間で、週休1日のほか夏冬に各10日間の休暇があり、食費や寮費などは製糸場が負担していたという。

 明治26年に民間に払い下げられてからは、労働時間が長くなるなど環境は悪化したが、「女工哀史のような過酷な環境ではなかったようだ」と文化庁関係者。教育施設も併設され、女性工員たちは辞めた後も、地元の製糸場などで指導的な役割を果たすことが少なくなかったという。

 イコモスは今回の登録勧告にあたり、配慮事項として「女性たちの指導者あるいは労働者としての役割を通じた技術移転について調査を行うこと」を求めた。文化庁関係者は、「世界でもまれに良好な当時の女性労働環境が、注目されたためだろう」としている。

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