情報量を増やしすぎると、子供には難しくなって見てもらえなくなるとも。そこで大切になるのが「情報のコントロール」だということを、庵野秀明監督は川上会長との対談で指摘した。「お客さんに何をどう見せるか、与えるか、感じてもらうかを考えるのがアニメーション」だと庵野監督。そのために、ストーリーも含めて情報量をコントロールして、伝えたいことが伝わるようにする必要があるという。
そんな「情報量のコントロールの良い教科書」として庵野監督が挙げたのが、鶴巻和哉監督が手がけた「I can Friday by day!」という短編アニメ。「キャラクターを立てるには背景を薄くする。ここはどこですよという情報が最低限あれば良い。部屋の中か電車か登校中か。それ以上の情報はいらない。その中でキャラクターを可愛いための最低限の情報量で作る。メカはCGを使って描き込む。カチッとしたところをポワッとしたところを描き分けてみせる」。それらができているのが同作品だという。
メリハリを付けることでクリエーターが見せたいものがくっきりと浮かび上がり、見る人にも伝わる。アニメに限らず、プレゼンテーションなど情報を伝達する場で活用できそうな方法論だ。