IT環境の整備により、在宅で働く日立ソリューションズの社員(同社提供)【拡大】
AIは離職防止にも一役かっている。都内のある飲食店では、出退勤のタイムカードを押す際に、社員がスマホやタブレットで「自撮り」をする。この顔写真の「口角」「目尻」の位置の下がり方をAIが診断。2万人の顔写真の学習データを基に、出退勤時刻の変化と併せて数値化。数値の変動で「離職傾向」を察知できるという。
これは人材サービスベンチャーのネオキャリア(東京都新宿区)が提供する、勤怠管理システム「ジンジャー」笑顔判定機能だ。サービス開始からすでに導入企業は約2000社に上っている。
AIによる労務管理には抵抗もありそうだが、同社経営企画部の小口敦士マネジャーは「人にもAIにもそれぞれ強みがある。人とデータのかけ算で最適な労務管理ができればいい」と話す。
人材難に危機感
AIによる労務管理に注目が集まっている背景には、人材難への企業の危機感もある。国立社会保障・人口問題研究所の調査では、生産年齢人口(15~64歳)は2013年時点で約8000万人だったのが、27年には1000万人減少するとの試算がある。