スパイダー・イニシアティブ代表・森辺一樹
日本企業がグローバル展開をする際に陥りがちな誤ったパターンが2つある。1つは、自分たちのやり方を現地で押し付けること。もう1つは、現地の人の言うことをうのみにして言いなりになってしまうことだ。
グローバル展開に失敗した企業を分析すると、8割くらいはどちらかのパターンに当てはまると言っても過言ではない。実はこれら2つは、どちらも正しく、どちらも間違っているのだ。
自分たちのやり方を現地のパートナーなどに押し付ける企業は、自分たちの日本国内での成功体験を過信している。
日本国内市場で大きな成功を収め、高い技術力と良い製品を持ち、これから展開しようとしている国がインドネシアだろうが、フィリピンだろうが、ベトナムだろうが、多少の違いはあれど基本的なことはこれまで通りにやっていけばいいに違いない、という考え方だ。しかし現実には、日本での成功体験の多くを現地で生かせるとはかぎらない。
そして、現地の人の言いなりになってしまう企業は「現地のことは現地の人がいちばん良く分かっているに違いない」と、自分たちのパートナーの言うことをうのみにして、彼らに全て委ねてしまう。自分たちは良い製品を作ることに徹し、売ることに関しては現地のパートナーに丸投げするというパターンだ。