マンションの谷間を行く通勤客ら。賃金の伸びで勝ち組負け組が鮮明に分かれそうだ=川崎市(ブルームバーグ)【拡大】
日本の賃金はここ数十年で最も速いペースで上昇している。これを受けて、日本企業と日本株は勝ち組と負け組に明確に分かれることが見込まれると、モルガン・スタンレーは指摘する。
モルガン・スタンレーは、賃金の伸びが来年末までに2.8%に加速すると予想し、時間給の増加により、労働時間の減少や雇用の伸び鈍化が相殺されるとの見方を示した。賃金上昇は企業の人件費負担が増えることを意味する一方で、需要拡大や売上高増加にもつながる。
賃金主導による物価上昇が、日本経済にとって「ジグソーパズルに当てはめる最後のピース」になると、モルガン・スタンレー・アジアのアジア・新興市場株担当チーフストラテジスト、ジョナサン・ガーナー氏は指摘する。
雇用者報酬はすでに大きく増加しており、2016年に2.2%増となったほか、過去2年間でもそれぞれ2%近くの伸びを記録。これはトレンドとしては1990年代以降で最も力強い。ただ、時間給はまだそれほど強さを示しておらず、今月発表された3月の1人当たり現金給与は前年同月比0.4%減だった。