ここ数年、若者の間で「出会いアプリ」が流行っている。国内市場は拡大を続け、大手事業者も多数参入。おかげで世界中の人と簡単に繋がれるようになったが、「その人がダメでもすぐ次がいる」と恋愛が長続きしなくなったり、「続けていると疲れる」などと心身を消耗したりマイナス面も目立つ。一度ハマるとなかなかやめられなくなるマッチングアプリとは一体どんなサービスなのか。
「ネットでの出会い」は不健全?
「とりあえず右スワイプお願いします!」。あなたが20代ならこの言葉でピンとくるかもしれない。ここ数年、若者の間で流行しているマッチングアプリ「ティンダー」でよく見かけるフレーズだ。
マッチングアプリとは、オンライン上での恋人探しを助けるいわゆる「出会い系」サービス。登録者の容姿や年齢、趣味、職業などから好みの相手を探し、お互いに気に入ればアプリ上でメッセージの交換ができる。メッセージで会話が弾めば食事や遊びに出掛けるなど、実際の「デート」に発展することもある。「ネットでの出会い」を経験しなかった世代からは「リスクが高い」「不健全だ」という声も聞こえてきそうだが、物心ついたときからネットに親しんできた「デジタルネイティブ世代」を含む20-30代にとって、マッチングアプリを介して見知らぬ人と会うことは珍しいことではなくなってきている。
代表的なサービスとして「ペアーズ」「Omiai」「ゼクシィ縁結び」などが知られているが、若者の話題に上がるのは冒頭で触れた「ティンダー」が圧倒的である。だが、このティンダー、一度ハマると心を蝕まれる思いをすることもあるのだ。一体どんなサービスなのか。
「一人“消去”してもすぐ次が…」
「指先ひとつで大勢と出会える。おかげで真剣交際は過去のものになった」。まるで取り憑かれたかのように毎日ティンダーで女性を漁り、デートやセックスを楽しんでいる40歳の米国人男性の言葉だ。スマホやSNSが普及した「現代の性」に迫るネットフリックスのドキュメンタリー番組「ホットガールズウォンテッド:オンライン・ラブ(シーズン1-2)」では、マッチングアプリに溺れたこの男性を数週間に渡り追っている。