開発した診断支援システム。AIが病変を見つけた部分は緑色で囲まれている=10日、東京都中央区の国立がん研究センター【拡大】
国立がん研究センターとNECは10日、大腸の内視鏡検査中の映像をリアルタイムで確認し、人工知能(AI)でがんや、がんの前段階のポリープを自動的に検知する診断支援システムを開発したと発表した。大腸の精密検査は内視鏡による目視が一般的だが、発生部位や形状、医師の技量などによってがんの見逃しが起きることがある。AIによる診断支援で見逃しを防ぎ、大腸がん死亡率の低下につなげる狙いで、2019年度には臨床試験を始めたいとしている。
今回の支援システムは内視鏡検査の画像を読み込み、AIが早期がんやポリープを見つけると警報音が鳴り、該当部位をモニター画面上で丸く囲んで医師に知らせる。NECのAI技術「NEC the WISE(ザ・ワイズ)」に、がん研究センターで得られた早期がんやポリープの患者の画像計約5000例と正常な大腸画像約13万5000枚を使い、ディープラーニング(深層学習)という手法で病変かどうかを学ばせた。これにより異常のある病変の部位を98%発見できた。