こうした正誤問題の正答率と各種アンケート結果を組み合わせると、さらに面白いことがわかった。47位の山梨県ほか「金融リテラシーが低い」と判断された県ほど、金融トラブル経験者の割合が高く、また緊急時に備えた資金を確保している割合が低いのである。
これは県民性に由来するのか? 県民性研究の第一人者、矢野新一氏の答えは「イエス」。異なる気候風土や産業構造、地域文化が、47通りの「お金の県民性」を生み出しているのではないか。地方勤務の経験のある経済コラムニストの大江英樹氏も「全国を回ったわけではないですが」と断ったうえで「徳島は慎重で貯金好き、福井はチャレンジ精神旺盛と、肌で感じられる違いがあります」と語る。
今回、この正答率ランキングに県別の“収入”ランキングを加味することで「金持ち県民、貧乏県民」ランキングを算出した。上位の県ほど、よく稼ぎよく殖やす「お金に心配のない」県だと言えるだろう。
知識もなければ、稼ぎも悪い沖縄と青森は、貧乏ツートップ
まずは「貧乏県民」。沖縄県、青森県、長崎県がワースト3となった。
沖縄県は、「金融リテラシー調査」の正誤問題正答率で46位。つまり、全国で下から2番目に金融知識がない県という結果が出た。また沖縄は「緊急時に備えた資金を確保している人の割合」で最下位。沖縄には「門中」と呼ばれる父系の血縁集団があり、互助組織としての役割を担っている。困ったときは親類縁者に頼れるため、金を貯めたり殖やしたりすることには興味が薄いとか。また沖縄は、「消費者ローンを利用している人の割合」が全国トップ。なのに「請求書の期日に遅れずに支払いをする人の割合」も44位とかなり低い。細かいことは「なんくるないさー(なんとかなるさ)」と笑い飛ばしてしまう明るい県民性なのだ。
ワースト2の青森県は「金融リテラシー調査」の正誤問題正答率では44位。収入ランキングでは下から3番目とどちらもかなり低い。にもかかわらず「金融知識に自信を持っている県」ランキングでは1位となっており、まさに“井の中の蛙”。現実に目を向けないと大変なことになりそうだ。