「自分勝手」に気分転換できているか 楽しく仕事をするために (1/3ページ)

【安西洋之のローカリゼーションマップ】

 日本のわりと硬い企業の方と話していて「イタリアは出張しづらいです」という愚痴を聞くことがある。

 イタリア出張というと仕事にかこつけて遊びに出かける、と勘違いされる。「いい思いを1人でしやがって」という同僚の嫉妬心もあり、それを回避するのが殊のほか、面倒だという。英国やドイツへの出張では、そういう摩擦が起こらない。

 さらに解説を加えると、硬い企業でも既にイタリアでビジネスをしていればいいのだが、「新規事業の可能性を探る」「市場の動向を見極める」というステップで足をひっぱりたがる輩がいる、ということだ。

 しかし、これは日本の硬い企業だけでなく、例えばアジアの新興国の職場でも似たような現象はあるらしい。イタリアの人たちと仕事をしていると楽しそうに思われるのだ(残念ながら、日本の人たちとの仕事は楽しそうと羨ましがられないようだ)。

 さて最近、日本のメディアをみていて、「仕事を楽しくする」「楽しそうに見せないとね」という文章をさかんにみる。ぼくも、趣旨に賛成だ。

 が、ふと思うのだ。

 こんなに外国人から楽しそうと言われるイタリア人自身、「これ、楽しいだろう」と皮肉も込めて言うことがあっても、「仕事は楽しくないとね」なんてセリフを日常で言い聞かせるように、そうそう言っているわけでもない。

切り替えとは、あることを相対化すること