がん患者の魂に耳傾け「患者さんの話は贈り物」…米国で学んだ僧侶「チャプレン」、病院で緩和ケア携わる (2/3ページ)

がん患者の浜田さん(右)が塗り絵を楽しむ様子を見守る稲荷山武田病院のチャプレン、笠原さん=京都市伏見区
がん患者の浜田さん(右)が塗り絵を楽しむ様子を見守る稲荷山武田病院のチャプレン、笠原さん=京都市伏見区【拡大】

 笠原さんは、真宗大谷派(本山・東本願寺、京都市下京区)の僧侶。髪をそっておらず、病院ではシャツとスラックスを着用している。宗教色を出して警戒されないための工夫だという。

 海外布教を担う開教使やヒロ東本願寺(ハワイ島)の住職として、大学卒業後の平成2年から11年まで米ハワイ州に滞在。最後の1年半の間、チャプレンの養成講座を受講した。

 「さまざまな宗教や国籍の人々と、切磋琢磨できた」。米国では、キリスト教を中心とした聖職者が病院に常駐し、「魂の痛み」に対処する。日常生活でカウンセリングを利用する文化もあるため、英語でも問題なく患者に対応できた。

 むしろ難しいと感じたのは、帰国してからだ。15年間勤めた高齢者施設は、生活相談員との兼務。慢性的な人手不足の現場では、ケアに集中できなかった。

 今年4月、稲荷山武田病院に移ったが、病院側にとっても初のチャプレン採用とあって、当初は手探りだった。土屋宣之院長(66)は「笠原さんの人柄が病院に安心感を与えてくれた」と明かした上で、こう語る。

 「緩和ケアは、患者や家族にどんな苦しみがあるかをキャッチしなければならない。笠原さんのおかげでチーム医療の幅が広がり、取りこぼしが減った」

 笠原さんが出会った患者は約20人。余命わずかと覚悟した人々は、人生で大切な何かを語り、自らの死を受容して亡くなっていったという。