【年の瀬記者ノート】草木供養塔から見えてくる山形の県民性 一木一草の中に神性を見る (2/3ページ)

高速道路の建設工事で伐採された木を弔うため建立された草木塔を指さす梅津幸保さん=米沢市万世町
高速道路の建設工事で伐採された木を弔うため建立された草木塔を指さす梅津幸保さん=米沢市万世町【拡大】

 岩手、福島両県に1基ずつある江戸時代の草木塔には建立者の個人名が彫られているが、山形の草木塔は地名や集落など集団名が刻まれている。米沢藩の古文書にも草木塔の記述はなく、藩主が関わったとは考えにくい。

 梅津さんはこう推論する。「木流しの仕事は共同で行う。彼らは命あるもの(草木)の命を断って薪や炭をつくる。まさに山(自然)の恵みをいただき、草木に生かされた人。その草木への感謝の気持ちを共同で表したのでしょう」。

 草木塔建立を山の修験者である僧侶や山伏が村人に勧めたとみるのは宗教研究者の千歳栄さん(90)。米沢市口田沢大明神沢の草木塔には「溝中口田沢村」とあり、修験者の影響で建立が始まったという。

 「人間は自然の恵みなくしては生きていけない。草木塔は草木の恵みへの感謝と神秘への畏怖で、自然物に精霊が宿るというアニミズムと、精霊が人間にたたるマナイズムが潜んでおり、自然への強い畏敬心が建立させたのだと思う」と千歳さんは話す。

 山形県に草木塔が多い理由。千歳さんは哲学者の梅原猛氏の分析を著書で紹介している。「草木塔は日本仏教の『草木国土悉皆成仏(そうもくこくどしっかいじょうぶつ)』という思想を具現化したものだ。日本には草や木に生きた神を見る思想があり、山形に草木塔が多いのも、一木一草の中に神性を見る土着思想が強く残っていたからだろう」と。