なぜ自衛隊は休むことを「命令」するのか ビジネスマンが知らない戦力回復とは (3/7ページ)

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 だからこそ、自衛隊は、「人は疲労し、疲労が人のパフォーマンスを低下させる」ことを前提として、日ごろの訓練を行なっています。それはそもそも、「人」が戦闘力の基礎だからです。そして意外に思われるかもしれませんが、じつは自衛隊は、とくに平成時代以降の実際的な活動で教訓を得ながら、徹底的に相手と戦う、あるいは長期的な災害派遣活動などにおいて、能力を維持したまま活動を継続するために「休む(専門的な言い方では「戦力回復」といいます)」という視点を絶対に欠かさない組織になりつつあります。

 自衛隊だけでなく、世界中の軍隊は、厳しい任務を組織の能力を低下させずに継続するため、訓練中や任務中に隊員相互でローテーションを組むなど、適度に休息を与えています。

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 もう少し具体的に見ていきましょう。「人」のコンディションを悪化させる要因とは、いったい何でしょうか。元自衛隊のメンタル教官を務めていただいた下園壮太氏は、「蓄積した疲労」を回復するのに十分な休息を与えられていないことである、とします。疲労の蓄積レベルについて、下園氏はそれを以下の三つに分類しています。

 第1段階 ぐっすり一晩眠れば、疲れがとれる

 第2段階 イライラし、不安になりやすい。同じ出来事でも疲れやすさが2倍になり、回復にも2倍の時間がかかる

 第3段階 心身に「病気」の症状が現れる。元気なときより3倍傷つきやすく、疲れやすい。回復にも3倍の時間がかかり、そのあいだに次のショックが重なりやすくなる

睡眠時間の長さも、パフォーマンスに大きく影響