時を超え、愛されるフェルメール 今秋、国内展最多の8点が集結 (2/4ページ)

ヨハネス・フェルメール「ぶどう酒のグラス」1661~62年頃ベルリン国立美術館Gemaldegalerie,StaatlicheMuseenzuBerlin,PreusischerKulturbesitzFoto:JorgP.Anders
ヨハネス・フェルメール「ぶどう酒のグラス」1661~62年頃ベルリン国立美術館Gemaldegalerie,StaatlicheMuseenzuBerlin,PreusischerKulturbesitzFoto:JorgP.Anders【拡大】

  • ハブリエル・メツー「手紙を読む女」1664~66年アイルランド・ナショナル・ギャラリーPresented,SirAlfredandLadyBeit,1987(BeitCollection)PhotocNationalGalleryofIreland,Dublin

 ブームが加速

 同じく17世紀オランダを代表するレンブラントとは異なり、フェルメールは没後長らく注目されることのなかった画家だ。欧州で再評価が始まったのは19世紀中期で、世界的ブームのきっかけは1990年代半ばに米国とオランダで開かれた「フェルメール展」とされる。日本でも2000年に大阪で開かれた展覧会を機に一気に熱狂が広がり、21世紀に入って人気は加速。三十数点の現存作品のうち、既に21点(真筆か否か意見が分かれる作品も含む)が来日している。

 作品の希少性のみならず、現代人がフェルメールにひかれる理由の一つに千足氏は「親しみやすさ」を挙げる。「市民の生活感情や価値観を反映しており、時代を超えて思いを重ねやすい絵といえるでしょう」

 というのも17世紀のオランダは、他の欧州諸国に先駆けて市民社会を実現。海洋貿易などで財を成した市民らは、室内を飾る小ぶりの親しみやすい絵を求めた。しかも偶像崇拝を敬遠するプロテスタントであり、好んだのは宗教や神話を描いた物語画よりも、日常生活を描いた風俗画や風景画。風俗画家として活躍したフェルメールも、こうしたニーズに応えたのだ。ただし、それは同時代の他の画家も同じ。女性が家事をしたり、手紙を書いたり、楽器を演奏したりと、フェルメールが描いた主題自体に独自性があるわけではない。「何を描いたかというより、いかに描いたかでしょう」と千足氏。