単にお茶をいれて飲むだけに非ず 「利休のふるさと」の魅力発信を強化
安土桃山時代の茶人で、わび茶の大成者として知られる千利休の出身地の堺市が、茶の湯を通じておもてなしの心を広げる条例の制定を検討していることが16日、分かった。産業振興を目的におもてなしを勧める条例はすでに各地であり、京都府宇治市など日本茶の産地でも制定されているが、堺市の条例は「一期一会」など茶の湯の精神を広めることを重視した内容とすることが特徴で、平成30年度中の制定を目指している。
堺市はこれまで、利休ゆかりの地として、市民らに茶の湯の精神を広めようと、小中学校などの教育現場で茶の湯体験を行ったり、市役所で抹茶をもてなすイベントを開いたりするなどの取り組みを行ってきた。
条例には、こうした取り組みの促進や来訪者に積極的に茶の湯でもてなすことなどを盛り込むことを検討。市民に茶の湯の精神を浸透させる一方、利休のふるさとであることを発信し、関連する観光産業の振興につなげる狙いもある。
市は今後、茶道関係者や有識者、市民らの意見を踏まえて条例案を作成し、30年度中に市議会に提出する方針。
竹山修身市長は「茶の湯は単にお茶をいれて飲むだけでなく、美術、工芸、書画、生け花、お菓子まで、幅広い分野における総合芸術である。そうしたものを生んだ利休のふるさととしての魅力の発信を強化していきたい」と話した。