中越地震の被災地見守る 無料で血栓検診13年 新潟大病院医師で・榛沢和彦さん (1/2ページ)

 新潟大病院の医師で血管外科が専門の榛沢和彦さん(53)は、平成16年10月に起きた中越地震の被災地で、エコノミークラス症候群の無料検診を地震発生の直後から13年余り続けている。資金難から中止を検討した時期もあったが、寄付を集めるなどして乗り越えてきた。榛沢さんは「可能な限り長く、被災地の人々を診ていきたい」と語る。

 エコノミークラス症候群は同じ姿勢で長時間立ったり座ったりして脚が鬱血し、静脈に血栓ができる。いったん発症すると再発しやすいとされ、突然死の恐れもある。災害時には、身動きしにくい車中泊や避難所での生活が一因になる。

 昨年12月、小千谷市の学習施設で臨床検査技師らがエコー検査で住民の脚の静脈を調べる傍ら、榛沢さんが「血栓があると言われたことはありますか」と住民に問い掛けていた。検診を受けた無職、渡辺純子さん(66)は「昔から血流が良くないといわれている。定期的な検診はありがたい」と話し、安心した様子を見せた。

 地震発生直後から、定期的に被災者の血栓の有無を調べていた榛沢さん。高頻度で血栓が見つかり、一度できたものが1年以上消えずに残る場合もあったため「しばらくフォローが必要だ」と感じ、18年以降も年1回の検診を続けてきた。