サントリー、浮いた残業代でがん治療の費用支援 4月から導入、1人当たり500万円上限

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 サントリーホールディングス(HD)が、がんにかかったグループ社員に対し、健康保険が適用されない重粒子線治療などがん先進医療の費用を支援する方針を固めたことが7日、分かった。働き方改革で減らした残業代が原資で、1人当たり500万円を上限に補助する。

 国内の企業では異例の取り組み。政府が今国会に提出する働き方改革関連法案では、残業の上限規制が盛り込まれている。減少する残業代に対する大手企業の対応が注目されており、追随する動きも出そうだ。

 サントリーは社員の健康維持に戦略的に取り組んでおり、士気向上や優秀な人材の獲得、定着につながると判断した。共済会に加盟するグループの社員を対象に4月から導入する。

 昨年1月には働き方改革として、部署単位で推進リーダーを決め具体的な改革を進める制度を導入した。働き方改革につながる知恵を社内から募って共有するなどの取り組みも進めている。サントリーHDでは管理職を除いた社員の昨年の平均残業時間が224時間で、前年より13時間減少した。月平均では18.7時間だった。

 サントリーは、がん先進医療の費用を負担する理由について「がんを完治させて働いてもらった方が会社の資源になる。保険ではカバーできない部分も支援することで、社員の安心感につなげたい」と説明している。