【論風】AIによる第4次産業革命への備え 人間性の現実踏まえた改革を (1/3ページ)

 □経営共創基盤CEO・冨山和彦

 足元の株式市場の波乱はあるものの、今年に入ってから、経済はなんとなく明るい雰囲気である。他方、政治的には、欧米における自国第一主義勢力の拡大、北朝鮮情勢、中東情勢など、大きなリスク要因を孕(はら)んでいる。こうした状況に人工知能(AI)やロボティクスによる第4次産業革命の大波はどんな影響を与えるのか。

 政治にも波及

 産業革命といわれる破壊的イノベーションは、画期的な技術革新に先導される。蒸気機関の発明(18世紀)、自動車の発明(19世紀末)と大量生産システムの登場(20世紀初頭)など、大きな技術革新は生産性を飛躍的に高め、新たなビジネスモデルを生み出して産業構造を一変させてきた。

 問題はこの先である。産業構造の大転換は、人々の働き方、生活のあり方を大きく変える。社会全体が豊かになる一方で、こうした大変化についていけない人々が増えるために社会的、政治的には不安定さが増す。科学技術の進歩スピード、産業的イノベーションのスピードに比べ、社会や政治のイノベーションはどうしても遅行的である。生活者としての生身の人間は不器用で情緒的、習慣的な生き物である以上、簡単には変われないのだ。

破壊的なイノベーションの時代をどう生きるべきか