【著者は語る】馬英華氏「逃げ切る力 逆境を生かす考え方」


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 □東京エレベーター社長 中国弁護士 馬英華氏

 ■問題見据え大胆に変える自由な行動

 本書は、独立系エレベーター保守会社の社長を務める傍ら、弁護士として中国に進出する日本企業を支援している私が、これまでコラムにつづった連載をまとめ、加筆したものです。

 中国人の“女の子”が日本にやって来て、大学卒業後間もなく起業し、会社経営に奔走する姿に、連載期間中はたくさんの読者から「まさに“中国版おしん”、勇気づけられた」「映画やドラマで見てみたい」などの感想や励ましの言葉をいただきました。

 中国・大連で、男尊女卑の考えを持つ両親の下、長女として望まれない生を受けたこと。大人顔負けの量の家事を毎日こなす中、いつか「大きな世界に行きたい」と願った幼い日々。お金に執着する母親との軋轢(あつれき)。奇跡が重なり、日本への留学がかない、働きながら勉学に励んだこと。早稲田大学法学部に入り博士号を、そして中国で弁護士の資格を取り、その間に日本で起業を果たしたこと。業界の古い慣習や社員たちとの間の“文化の壁”に悩み、解決するために挑んできたこと…。私がこれまで乗り越えてきた「男尊女卑の壁」「外国人の壁」「規制の壁」「文化の壁」、これら4つの壁を章立てして振り返るとともに、各章の終わりには、逆境の中で身につけた「逆境を生かす」ためのポジティブな考え方を、メッセージとして読者に贈っています。

 本書の中には、時代や国を越えて人々が共鳴する普遍性がある、と自負しています。いま学校や職場でいじめを受けている人、自分の才能や境遇に絶望している人、自分の行く末に言いようのない不安を感じている人、失敗続きで壁にぶつかっている人、会社存続の危機に立っている中小企業経営者など、一人でも多くの人たちに読んでもらいたいのです。

 「逃げ切る力」というタイトルは、一見すると世の常識に矛盾するかもしれません。逃げ出すのは勇気のない者であり、ここは「立ち向かう力」がタイトルとしてふさわしいのではないか、と。でも、私が言う「逃げ切る」ことは、問題から目をそむけ、逃げるための行動ではありません。むしろ、問題を見据え、そこから大胆に考え方を変えるための行動、そう自由になるべく逃げ切ることなのです。(1728円、日本経済新聞出版社)

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【プロフィル】馬英華

 ま・えいか 中国・大連市生まれ。大学4年生のときに来日、1990年早稲田大学法学部入学。修士を経て99年に同大学院法学研究科博士後期課程修了。96年に中国弁護士資格を取得後、97年に日本で東京エレベーターを設立。2004年に同社代表取締役に就任。日本ビジネスを熟知する中国弁護士として多くの日本企業の顧問を務めるほか、講演・執筆活動も活発に行っている。中国ビジネス研究所所長、新生アジア代表。著書に『果実と毒』『交渉術』『目標は夢を叶える近道』。