【現場の風】副業・兼業で働き方の選択肢拡大を (1/2ページ)

リクルートワークス研究所の萩原牧子研究員(寺河内美奈撮影)
リクルートワークス研究所の萩原牧子研究員(寺河内美奈撮影)【拡大】

 □リクルートワークス研究所主任アナリスト・萩原牧子さん(42)

 --働き方改革で副業・兼業の解禁が進むが、実態は

 「当研究所の調査では雇用者の12.9%、正社員では10.8%が副業・兼業を経験している。今は多くの企業が副業・兼業を禁止していることを考えると、『隠れ副業』は広がっている。それだけに副業・兼業を認める場合、企業はルールを明確にする必要がある」

 --生活費補填(ほてん)目的の印象が強い

 「そういう面もあるが、年収500万円以上の正社員でも8.6%が副業・兼業をしている。本業の年収が高いほど副業の収入が高くなる比例関係もある。自身の能力を外で生かす『キャリア型』と呼ばれる形態で、解禁となればさらに増加する。政府が推進するのは、1つの企業にとどまっていた人材を開放し、社会全体の生産性を高めることで、キャリア型の拡大を想定している」

 --企業にとってのメリットと課題は

 「従業員の成長機会を自社内で提供するには限界がある。イノベーションに必要な多様な知識やスキルを獲得する手段の一つとして副業・兼業を位置付け、活用していくべきだ。仕事を通じた成長実感の調査では副業・兼業をしている方が成長しているとの実感が高い。このスキルを本業でも生かせるメリットは大きい。業務委託契約などで関係を継続したり、数年後に戻りたいと思った人材を受け入れたりする制度が重要だ。人材を囲い込むのではなく、働き方の選択肢を多く提供すべきだ」

働く側の利点は