【著者は語る】ノンフィクション作家・佐藤拓氏「親日国の世界地図」


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 ■日本は本当に世界から愛されているか

 「日本は世界に愛されている」だから「日本人はもっと自信を持とう」などというのが本書の趣旨ではない。多くの人が曖昧な根拠をもとに漠然と抱いている「日本は世界の国から重視されており、日本人は好かれている」という希望的推測を、本当にそうなのかどうかデータで検証するというのが、本書の執筆目的である。

 入手できた各国の世論調査データを精査した結果、確かに世界中を見渡しても、中国と韓国以外に顕著な反日国家は見当たらなかった(北朝鮮はデータがないために除外)。

 しかし、それを手放しで喜んでいられない状況も明らかになった。親日派の人口が減少している地域が少なからずあり、そしてそれと対照的に、親中国の国が世界的に広がってきているのだ。

 昨今のニュース報道などから、ともすると「中国は強引な拡張政策のために多くの国に嫌われている」と思い込みがちだが、軋轢(あつれき)が伝えられる東南アジア地域においてさえ、一部の国を除いて親中派の人が増えており、親日派を凌駕(りょうが)する勢いなのだ。いや実際に凌駕している国も少なくない。その傾向は中央アジア、アフリカ、中南米においてはさらに顕著である。

 本書では、各国の親日度合を1~5の指数で表している。5~3が親日国で、2と1は親日国とまでは言えない「友好国」とした。では、トルコの親日指数はいくつか。トルコといえば、明治時代に和歌山県沖でトルコ軍艦が座礁し、村民が総出で乗組員を救助した、いわゆる「エルトゥールル号事件」が有名である。それが現地の小学校の教科書に載っているため、トルコは無類の親日国であると、日本人の多くが信じている。ところが、世論調査結果によると、この事件を知っているトルコ国民は3割に過ぎず、親日指数も3に止まっている。

 ことほど左様に、一般に親日国として認識されている国が実はそうでもなかったり、逆になぜこの国が親日なのかと不思議に思う事例もあったりで、データで検証してこそ浮かび上がってきた事実も多い。

 一方、現在の日本が世界から愛されるに値する魅力的な国かどうか。これについても、さまざまな世界ランキングなどのデータをもとに検証した。(907円、祥伝社)

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【プロフィル】佐藤拓

 さとう・たく ノンフィクション作家、サイエンスライター。愛媛県出身。1959年生まれ、京都大学工学部卒。「人生と幸福」をテーマに、データを駆使した分析力と、わかりやすい叙述に定評がある。主な著書に『医師の正義』『一万円の世界地図』『男の格差』などがある。また、白石拓のペンネームで、一般向け科学書を多数刊行。近著に『地球外生命を探せ!』『異常気象の疑問を解く』『ひと粒五万円!世界一のイチゴの秘密』などがある。