「時差出勤」で働き方は変わるか 狙いと効果、導入企業に聞いてみた (2/3ページ)

 フレックスタイム制の方が柔軟性は高いが、同社には時差出勤の方が合っていたという。商社の業務において、緊急対応や繁忙期の集中的な業務が必要となることもあるからだ。始業と終業の時間を完全に個人の判断に委ねてしまうと、「組織運営への影響が懸念される場面も想定される」(同)

 一方、「個人単位の時差出勤制度」は勤務時間を前後にスライドさせるだけ。「個人による勤務時間帯の柔軟性は担保しながらも、組織力はこれまで通り維持することができます。従来の制度とフレックスタイム制度の両方の性質を併せ持つ、中間的位置付けとしています」(同)。まずは時差出勤制度を導入し、状況を見極めながら次の一手を考えていく方針だ。

 生産性を高めることが目的であるため、その目的を果たすように運用している。1日単位で勤務時間を変更することができるが、事前に上長の許可が必要となる。それでも、全体の3~4割の社員が、従来の定時である午前9時15分~午後5時半以外の時間帯で勤務しているという。

 業務やライフスタイルに合わせた使い方

 どのような人がこの制度を使っているのか。三井物産では、業務の都合に臨機応変に対応したり、個人の生活に合わせて勤務時間を選択したりするために活用されている。

 「例えば、欧州や中南米など、時差のある地域の案件を担当している社員の場合、夕方以降に現地会社が始業するため、朝遅く出勤する時間帯に業務時間を設定し、その分残業時間を削減しています。また、子育て中の社員が、保育園のお迎えのために時短勤務を選択せざるを得なかったのが、朝早く出勤する時間帯に業務時間を設定したおかげで、フルタイム勤務が可能となりました。さらに、自分が集中できる時間帯を見極めて、出勤時間を設定するケースもあります」(同)

東京都も取り組みを進める