全国の書店員が“最も売りたい本”を選ぶ「2018年本屋大賞」が10日、辻村深月(みづき)さん(38)の「かがみの孤城」(ポプラ社)に決まり、東京都内で贈賞式が開かれた。
辻村さんは山梨県出身。千葉大卒業後、団体職員を経て平成16年に「冷たい校舎の時は止まる」で作家デビュー。24年には、「鍵のない夢を見る」で直木賞を受賞した。
受賞作は、不登校などの悩みを抱えた7人の中学生が鏡の中にある不思議な世界に誘われ、そこでの交流をきっかけに成長し、絆を深めていく物語。発行元のポプラ社によると、累計発行部数は50万部を突破した。
贈賞式で辻村さんは、「私が『逃げ場がない』と感じていた10代の頃に読んでいた本や、先輩作家の方々に“恩返し”ができた」と喜びを語り、「誰かを救いたいと思って書いた。その気持ちを全国の書店が、手に取ってくれる次の誰かにつないでくれたら、うれしい」と話した。
また、翻訳小説部門は米国人作家、ステファニー・ガーバーさんの「カラヴァル 深紅色の少女」(西本かおるさん訳、キノブックス)に決まった。