【書評】『健康という病』五木寛之・著 明るく冷静に老いと死を自覚


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 テレビや新聞、雑誌には今、健康情報があふれている。あるメディアが「1万歩歩け」と推奨すれば、あるメディアは「歩きすぎはよくない」と説く。健康情報に接するたびに不安は増大し、倍加するストレスが「健康という病」の一因だと著者は指摘する。

 本書は氾濫する健康情報を見極める力「ヘルスリテラシー」を身につける羅針盤となる。著者はこれまでも、「林住期」などで人生の後半生を有意義に過ごすことを提案。本書では明るく冷静に老いと死を自覚することの必要性を訴えている。健康で思い悩むことはない。読後、気持ちが軽くなる。(821円、幻冬舎新書)