【編集者のおすすめ】国家の浮沈がこの数年で決まる 『AI戦争論 進化する戦場で自衛隊は全滅する』兵頭二十八著 (1/2ページ)

『AI戦争論進化する戦場で自衛隊は全滅する』
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 人工知能(AI)の進歩が安全保障分野にどんな影響を及ぼすのか、総合的に予測した野心的な一冊です。

 ロシアのプーチン大統領はこの分野でリーダーになる者が「次の世界を支配する」と述べ、キッシンジャー元米国務長官も「AI開発競争が従来の国家間競争を一変させる」と指摘、各国でAI技術の軍事利用が加速しています。

 米露中など各国がまだ不完全なAI技術を投入しながら覇権を争う中、すでに起きつつある社会混乱に、著者は注意を促します。具体的には自動翻訳AIを使った国家間のフェイク報道合戦や敵国の大衆洗脳、AIによるハッキングや重要インフラの破壊・攪乱(かくらん)工作、大量破壊兵器の「ガレージキット化」によるテロ攻撃誘発などの懸念です。

 また電子戦、情報戦、ゲリラ戦、ミサイル防衛や陸海空いずれの戦場でも、電子的ソフトウエアの優劣が勝敗を左右するようになり、兵器の無人化と自動化、小型化とスウォーム(大群)運用化は、軍事常識を根底から覆す革命になると著者は警告します。

 わが国はすでに軍事用ドローンの開発・運用で取り返しのつかない後れを取っており、AI分野でも大幅な出遅れが憂慮されます。

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