【書評】『盤上の海、詩の宇宙』羽生善治、吉増剛造・著


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 ■幅広さや奥深さ味わう対談

 のちに国民栄誉賞を受賞する将棋棋士と、文化功労者になる現代詩人による1996年の対談をまとめた。初出から20年以上たち、新書判での刊行。将棋と詩の世界の幅広さ、奥深さを味わうことができる。

 考えるということ、アイデアの源泉を切り口に双方の頭の中を探った2人。話題は互いの活動にとどまらず、読書やF1レーサーのアイルトン・セナについてなど、よほど波長が合うのか縦横無尽に発展していく。

 将棋駒のことを《言葉を背中とお腹に背負って、漢字の不思議な妖精がこうやって動いていく…》と表現した吉増の発想力に圧倒される。(河出書房新社、907円)