組織再生に活用期待 京大が医療用ES細胞を7月にも提供、国内初の試み

京都大が作製した医療用ES細胞
京都大が作製した医療用ES細胞【拡大】

  • 医療用ES細胞提供の流れ

 再生医療に使う人の胚性幹細胞(ES細胞)を備蓄し、研究機関や製薬企業に提供する京都大の事業計画について、末盛博文准教授(幹細胞生物学)は22日、実際の提供は7月ごろ可能になると明らかにした。

 医療用ES細胞の提供は国内初。人工多能性幹細胞(iPS細胞)と同様に、体のさまざまな細胞に変化でき、病気やけがで傷んだり失われたりした組織や臓器を修復する医療への活用が期待されている。

 ES細胞は、受精卵を壊して作製するため倫理的問題が指摘され、利用は基礎研究に限られていた。平成26年に国の新指針ができ、医療用ES細胞が作れるようになった。京大は、品質管理のために医療用ES細胞専用の処理施設整備などに取り組むとともに、不妊治療で使われなかった受精卵からES細胞を作り、7月ごろまでにはストック体制が完全に整う見込みとなった。臨床研究を希望する研究機関などから申請があれば分配する。細胞自体は無償で、運搬費などに3万~6万円程度必要。

 京大はストック事業をiPS細胞でも実施中。培養条件が同じなため、iPS細胞を使用している機関はES細胞の導入も容易としている。既に国内数カ所の機関から問い合わせがあるという。

 末盛准教授は「国内では海外より、ES細胞を使った臨床応用で後れを取っている」と指摘。「再生医療で、iPS細胞に加えて、ES細胞から作った細胞を移植し、比較検証することで、安全性や有効性の向上に貢献できる」と話している。