「好き嫌い」をやり取りしよう まず1人きりでビジョンを考える (2/3ページ)

 大学の先生に聞くと「10数年前から、授業はインタラクティブであるべきとの流れが強くなった影響では?」とも指摘する。グループ学習がベースにある学生にとって、孤独な時間が過ごしにくくなったのか。そして就職すれば、「ユーザーの声を聞くのが、プロジェクトのはじまり」とユーザーリサーチに励み、その結果を皆で議論する。しかも「ビジネスとは問題解決だ。問題を正確に掴め!」と大きな声で言われる。

 そういうこともあるだろう。「集合知こそがネット時代の宝である」と言われれば、「もちろん!」と同意する。「異なる文化との出会いが新しいアイデアを生む」と聞けば、「本当にそうだ!」と大きな声を出したくもなる。

 どれも間違ったことを言っていない。そして、どれも「1人で考えるのは悪だ。やめろ!」なんて言ってない。それなのに1人での思索にマイナスのイメージが付着したらしい。

 かつてサラリーマンの世界には「同僚と仲良くやっていない」と思われるのを恐れ、無理しても同僚と一緒に昼食をとる空気があった。今、そのような職場にぼくはいないから分からないが、東京のオフィス街の昼休みの風景をみると、実に多くの人が1人で昼食をとっている。

 これだけ孤食が普及したのに、1人で考えるには腰がひける。

「好き嫌い」にはその人の人生の履歴すべてが詰まっている