資源小国・日本 危うい『自給率8%』 今こそ「エネルギーミックス」を

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  • キヤノングローバル戦略研究所研究主幹宮家邦彦氏

 日本は、生活や経済活動に必要なエネルギー源のほとんどを海外からの輸入に頼っている。日本は食料自給率が低い(約38%)とされているが、「エネルギー自給率」はさらに低く約8%しかない。国際情勢の変化や資源価格の高騰などが起こった場合、エネルギー資源の調達や、電力の供給など、国民生活に大きな影響を及ぼす可能性がある。

 エネルギー自給率は、発電などに利用される火力、再生可能エネルギー、原子力といったエネルギー源のうち、どれだけ自国内で確保できたかを示すもの。日本は2016年度で約8%にとどまり、先進国の中でも極めて低い(図1)。

 東日本大震災の前は約20%だったが、原子力発電所の稼働停止で大幅に低下した。原子力は、燃料を長期間使用できるうえ、発電後の燃料もリサイクルして利用できることから、「準国産エネルギー」と位置づけられており、その停止により自給率はさらに低下してしまった。

 震災以降、原子力の停止を補ったのが、天然ガスや石炭、石油といった燃料のほとんどを海外に依存する火力発電だ。17年度の発電方法の割合は、原子力が約3%なのに対し、火力は約79%を占めている(図2)。こうした火力に極端に依存した状況では、エネルギー供給が国際情勢に大きく左右される恐れがあり、自給率をできるだけ高めることが重要となる。

 そのためには、特定の発電方法に依存するのではなく、多様な電源をバランス良く組み合わせる「エネルギーミックス」が欠かせない(図3)。エネルギーミックスの実現は、資源小国の日本にとって必須の課題といえる。

エネルギーにも安全保障の視点を

専門家に聞く キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 宮家邦彦氏

 資源の多くを海外に依存し、紛争等の危機が起きたときに必要な資源を輸入できなくなる恐れがあるという点では、日本の脆弱(ぜいじゃく)性はオイルショックの時から大きくは変わっていない。エネルギーは経済だけでなく、外交等も考慮に入れて戦略を立てる必要がある。

 特定の電源に過度に依存したり、期待値だけで一つの電源に託したりするようなことは、およそ戦略的な安全保障とはいえない。

 自国内で確保できるという点で再生可能エネルギーが脚光を浴びているが、コストや安定性の面でまだ課題がある。

 資源に乏しい日本が取るべき戦略は、火力、再生可能エネルギー、原子力といった利用可能なすべての電源を確保し、バランスのとれた供給体制を構築することである。

【プロフィル】みやけ・くにひこ 1953年、神奈川県出身。東大法卒。78年外務省入省。中東アフリカ局参事官などを歴任し、2005年退官。現在、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。