【書評】『わかって下さい』藤田宜永・著 男たちの運命的な物語つづる


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 製紙会社を定年退職後、子会社に勤め、65歳で仕事をやめた平間。1人で出かけたテレビの懐メロ番組公開放送会場で約40年前の恋人、美奈子と隣り合う。盲目になっていた美奈子に平間は偽名を名乗り、話しかける(表題作)。

 資産家の菅野は24年前、子連れの女性と結婚したが、妻は早くに亡くなり、血縁のない娘、可南子と2人で暮らしてきた。ある日、結婚が決まった可南子から相談を受ける(「白いシャクナゲ」)。

 年輪を重ねた男たちの物語6編を収録。それぞれ過去に秘めた思いに運命的な展開が待ち受ける。帯の惹句(じゃっく)通り〈ジワジワ来る〉短編集。(新潮社、1836円)