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会いたい人に今すぐ会おう! ほんの一瞬の迷いで後悔しないために (2/3ページ)

安西洋之

 しばらくして、それはぼくが本当に望んだものではなかったことがじょじょに分かってくる。結局、「会えそうな名の知れた人」に会いやすくなったに過ぎない。贅沢な想いであるのは自覚しながら、そうした人たちとの出会いの履歴を積み上げることの不毛に思い至る。

 他方、知人・友人の「この人と会うと良い」との助言や推薦に依存する比率が増えていく。あるいは、直接見知らぬ人からコンタクトを受けることも増える。

 すると「なんだ、新しい人との出会いはそう難しいものではない」という安易な妄想が浮上してくる。

 人と初対面で会うには、先方からのアプローチを待った方が有利という小賢しい考えも到来する。アプローチした方の人間の真意を見極めることに神経を集中する、というつまらない傾向に自分も溺れていく。麻薬のようなものだ。

 そして「会いたい人には、どこかできっと自然に会える」という教訓じみた台詞を信じるようになるのだ。人は怠惰だ。

 しかし「会いたい時に会う」と「会いたい人にいつか会える」の間には大きな開きがある。「いつか会える」と思った人の口から聞く話は、ぼくが何年も前に聞きたかった話であったり、憧れのままそっとしまっておいて良かった話であったりする。

 言うまでもなく、そうした後悔を含めて経験を積み重ねるのが人生であるが、できるなら何百回と経験する必要もないだろう。

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