【ゆうゆうLife】家族がいてもいなくても(556) 深まる夕闇に魅せられて (1/2ページ)

 暑い夏。いくらなんでも、これは行き過ぎじゃないの、という事態だ。

 涼しいはずの那須も暑い。昼間は太陽がじりじりと肌を刺すので、よほどの用がない限り、外には出たくない。じっとしていたい。

 その反動で、陽(ひ)が傾いて涼しくなるとほっとして、周辺を歩きまわりたくなる。

 夕暮れの散歩。

 これが、なかなかすてき。

 食堂で夕食を済ませ、私は家に向かって、緩やかな坂を上っていくのだけれど、その途中で、しばし、たたずんで西の空を振り返りたくなる。

 沈んでいく太陽が、溶けだしそうに赤く燃えていたり、空全体がはにかんだようにほんのりピンクに染まっていたり…。

 日々、その表情を変える空に一日の終わりを告げられると、この夕暮れの中に、1秒でも長くとどまっていたい、という思いに、無性にかられるのだ。

 自然と、足が牧場の方へ向かう。

 細い林道を上っていくと、今は、道に沿って、白いヤマユリがおびただしく咲き乱れている一角がある。

 あたりはそのユリの香りに包まれていて、夕暮れのたたずまいと相まって、なにやら不思議な雰囲気を醸し出している。

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