【著者は語る】税理士・公認会計士、保手浜洋介氏 「相続税は過払いが8割」


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 □税理士法人アレース代表社員 税理士・公認会計士、保手浜洋介氏

 ■ポイントは土地評価 納税を一円でも少なく

 相続税の基礎控除が大幅に減額された2015(平成27)年以降、相続税を納めなければいけなくなった人が大幅に増え、以前は「お金持ちだけの税金」であったはずの相続税が一般庶民のものになろうとしています。

 そして、実はこの相続税、もう一つ隠れた大きな問題を抱えています。知らないうちに必要以上に相続税を納めている人があまりに多いことです。われわれにご相談される方の8割近くが払い過ぎになっています。しかも、ほとんどのケースで税理士が相続税を計算しています。

 本書は、そんな相続税の過払いの実態を広く知っていただくために執筆しました。

 本書で触れた具体的事例を紹介しましょう。首都圏の一戸建て住宅を相続したケースでは、もともと相続税1250万円を納めていましたが、財産評価を見直したところ、税額が350万円に減り、900万円も取り戻すことができました。接する道路が建築基準法で定められた道路でなく、建物を建てられない土地だったのが軽減の理由です。

 また、広い敷地を相続したケースでは、既に納めていた1億9000万円の相続税のうち、実に1億3000万円もが戻りました。広大地が対象となる評価減規定を使ったことが決め手です。

 いずれのケースも、なぜ、相続税額に大きな開きが生じたのか。それは土地の評価方法がポイントです。相続対象となる土地には、評価額を軽減できる要素がいろいろとあります。

 「土地の前の道路が狭い」「土地の形がいびつである」「線路に近い場所に立地している」「土地の近くに墓場がある」など。さらに、「敷地内に鳥居や地蔵がある」ということも軽減要因となります。

 これらの詳細な土地評価は、すべての税理士が行っているわけではありません。逆に言えば、私のように資産税を専門とし、相続財産に含まれる土地を詳細に調べられるノウハウをもつ税理士でなければ、見逃してしまうことも多々あるのが実情です。

 メジャーや測量ポール、騒音計などを使って現地で徹底的に測量・測定したり、市役所などで土地のことを調査したり、パソコンで製図ソフトを使って土地を科学的に分析したり…。そんなノウハウを基に、本書は相続税の過払いを一円でも少なくする方法を紹介しています。(1620円 かんき出版)

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【プロフィル】保手浜洋介

 ほてはま・ようすけ 税理士法人アレース代表社員、税理士、公認会計士、行政書士、宅地建物取引士。慶応大学経済学部卒業、銀行勤務を経て、監査法人トーマツ入社。会計監査に携わった後、税理士法人トーマツにて国際税務などの大型案件に従事。2012年独立、当時始まったばかりのグリーン投資減税に注目し、節税のため太陽光発電投資を商品化。全国の資産家や優良企業に提案、支持される。15年、資産税に特化した税理士法人アレースを設立。