【きのうきょう】私だけは知っている

 大阪府河内長野市 深井佳代 70 主婦

 隅々まで掃除の行き届いた家は、スッキリして気持ちがよい。わが家もそうありたいと思ってきたが、元来掃除が不得手な私には、なかなか難しい。それでも若いころは何とかしようと、曜日ごとに掃除計画を立ててみたりもしたが、習慣になるまでには至らなかった。

 最近は通常の掃除以外に、毎日15分間だけ雑巾を手に、思いつく箇所を拭くことにしている。これは怠け者の私に合っているようだ。雑巾は古くなったシャツやタオルを適当に切ったもので、使用後は洗わずに捨てる。洗わなくてもいいのは私向きだ。

 思いつくままにあちこち拭くと、布はすぐに真っ黒になり、その汚れには驚かされる。

 夫はきれいになったことに気付くこともない。が、私だけは知っている。きょうもわが家のどこかが、少しだけきれいになったことを。私は真っ黒になった布きれをゴミ箱に捨てながら、1人ほくそ笑んでいる。

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